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  • J. S. Bach と光悦ー元日クラシックコンサートー

    さて皆様、元日はいかがお過ごしでしたでしょうか。私は京都ハイアットリージェンシーホテルにて行われました、クラシックコンサートを聴くチャンスに恵まれました。ただのコンサートではありません。音楽と着物のコラボレーション。同じ時代に西洋と東洋で存在した音楽の父バッハと、琳派の創始者である本阿弥光悦、ふたりの残した文化の軌跡を同時に体感できる企画でした。ホールに入ると、光悦時代の代表的な文様を、染め、織り、絞り、様々な技術で表現した着物や帯が展示されており、コンサートまでのひと時を和のモードでゆったりと過ごせます。

    いざコンサートの開始です。今回は、バッハの時代にピアノは存在しなかったということで、チェンバロが用意されました。初めて聴く繊細な音色は、今でも耳に残っています。第一部では、ヴィヴァルディの四季を春夏秋冬とおして聴くことができました。しかも、解説付きです。例えば、春では小鳥のさえずりが楽譜に書き込まれているのですが、まず、さえずりの部分だけを聴かせてもらい、演奏に移るという段取り。クラシックは好きでしたが、今までは音としてだけ捉えていたので、きちんと音の表現する意味やドラマを教えてもらえたことが、とても嬉しく新鮮でした。秋の場面では、収穫の秋ということで、祝宴をする人々の中に酔っ払いがいて、その気持ちよく千鳥足になっている様子を表現した音がありました。面白いですね。こういうことを、ひとつでも多く分かっていたら、精神的にとても豊かになれるのだろうと思います。演奏中にずっと感じていたことは、音楽も着物も同じだということ。楽譜に小鳥のさえずりが書き込まれているのと同じように、着物にはその時代や文化を象徴する文様が表現されています。着物は、読み解くものでもあるということを、強く感じました。

    さて、この素敵な企画に関わっていらした藤井絞の社長さん。縁起のひょうたんなまずの羽織でお越しでした。男性の羽織は、いろいろに遊ぶことができて本当に愉しみですね。

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  • 着物も帯も臈纈染め

    ただ今、店内のディスプレィでは臈纈染めの競演を見ることができます。

    着物は小紋ですが、無地感覚で着こなして下さい。

    幾何学模様の名古屋帯と合わせれば、パーティーやお食事会、観劇など様々なシーンに活躍します。蝋独特の柔らかい雰囲気が、幾何学模様をとても美しく面白みのあるものに仕上げています。

    臈纈染めは、女性を女性らしく見せてくれる、お役立ちアイテムでもあると思っています。

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  • 近ごろ、江戸小紋が人気です

    このごろの売れ筋は、江戸小紋。本当に人気があります。

    無地に見えるけれど実は細かい柄の集合体である江戸小紋は、実際に纏うと立体感が出ますので、普通の色無地とはひと味違った存在感があります。

    抜き紋をひとつ入れておけば、帯次第であらゆるシーンに着回せます。写真のように、お洒落な名古屋帯を合わせればお茶会に、ご法事の帯を締めればご法事に、袋帯をすれば結婚式や新年会などフォーマルシーンに活躍します。

    昨今では、お子様の卒業式や入学式などにお召しになるために誂える方が増えています。江戸小紋は、スーツなどの洋装の中に混じっても悪目立ちすることなく、フォーマル感を演出できます。江戸小紋とは、いわゆる遊び着の「小紋」の意味ではなく、小さい紋の集合体=無地、つまり、色無地と同じ格になります。家の行事ごとにも活躍しますから、結婚の際に一枚誂えるとずっとずっと重宝する着物でもありますね。もともとは、江戸時代の武士が、裃に家々の家紋を細かく染めて着ていたことが始まりです。だから、江戸小紋、なのです。

    渋い色目ばかりでなく、きれいな朱鷺色やヒワ色のもの、いろいろ取り揃えておりますので、ぜひ一度、江戸小紋を御覧にお越し下さいませ。

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  • 藤井絞の記憶──誠実な黒──

    藤井絞の記憶シリーズを久しぶりに。

    ひと口に黒色と言っても、実はいろいろな黒があります。藤井絞の黒は、浸け染めの深い深い黒で、見ればすぐに藤井さんの黒と分かるほど。誠実な黒とでも表現しましょうか。色にも人間と同じように、誠実、不誠実の印象があることを教えてくれた黒でした。

    昨日もご紹介しました黒地の小紋に、同じく藤井絞の名古屋帯を合わせてみましょうか。帯も藤井さんらしさ溢れる逸品。黒を背景に、京都らしい華やかな色が豊かに表現されています。

    誠実な黒、是非、本物でお確かめ下さいませ。

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  • ひとつ身の全貌

    10月にお越しになった親子さんのおはなし(その時の記事はこちら)。5歳の息子さんが、先日お宮参りを済まされました。ママさんからの投稿です。

    こちらが、ひとつ身の全貌。藤井絞り製、桶絞りのひとつ身です。袴との相性も良く、息子さんの雰囲気にぴったりです。

    雪駄も別注で誂えたもの。写真では分かりませんが、鼻緒に宝尽くしの柄が刺繍されています。

    若様の装い、いかがですか?

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  • 羽織の楽しみ方

    羽織、コート、ショールなど、着物に重ねて纏うものが活躍する季節です。こちら私物の羽織です。地色の茄子色がとても気に入っています。無地かと思いきや、実は刺し子で控えめな柄がほどこされています。好きな色で選ぶ、それも羽織の楽しみ方。着物は無地の大島を。素敵な喫茶店でちょっとお茶を、なんていう時は、たいていこの組み合わせです。着物も羽織も抑えた色味なので、珊瑚のかんざしでアクセントを付けるのも、いつものやり方。小さいアイテムですが、かんざしは、その色ひとつで後ろ姿に大きな印象を与えてくれますよ。

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  • 視線を独り占め、かんざしの帯

    お客様からの投稿です。能登へ観劇にお出掛けになった時の装い。

    ポイントは、お仲間から大好評だったというかんざしの帯。アップリケの風合いも愛らしく、大人の可愛さを演出します。着物も、同じかんざし調子の小紋をお召しになって。このまま、『きものサロン』に投稿したいぐいらい素敵です。

    20091130