• 単衣の集い2

    さて本日は、単衣の集いでの装いを明らかに致しましょう!

    まず一組目のお客様から。 右、お母様は新緑をイメージさせる美しい小紋に、白っぽい織りの帯を。 左、お嬢様は、藤井絞り製、竜巻絞りの小紋に今井廉作の花守の帯をコーディネート。 おふたりとも、小紋をモダンに着こなしていらっしゃいます。

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    前はこのようになります。それぞれの帯の質感や面白さ、お分かりいただけますでしょうか。カゴのバッグも見事にマッチしています!お母様のシンプルな帯留め使いにも注目です。 お母様は、お嬢様が誕生なさった時に着付けの資格を取られて(なんと1級です!)以来、ずっと着付けから離れていらっしゃいましたが、この日は、お嬢様に着せつけをなさいました。本当に久しぶりと仰っていましたが、ブランクをまったく感じさせない自然体の着姿ですね。その様子を拝見しながら、母と娘の間には他の誰もが介在できない深い絆や想いが確かにあるのだと感じさせられました。

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    いま一組は、おふたりとも訪問着の装いです。

    右、お母様のお着物はよく目を凝らすとボカシがある訪問着。素材感と言い色と言い、大変きれいなお着物です。帯は、涼感漂う単衣向きのもの。たれにある柄がポイントです。

    左、お嬢様の装いは、着物も帯も染めの百趣矢野の逸品。控えめで上品な着物に、帯の蝶柄がインパクトを与えています。

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    前姿はこのようになります。お母様、さんごの帯留めが効いていますね。鮮やかなピンク色が全体のコーディネートを引き締めます。お嬢様も、市松模様の帯締めですっきりと。バッグの赤が印象的です。 お嬢様は富山に嫁がれましたが、この日は久しぶりに氷見に戻られご参加下さいました。いつも、とても仲の良い母娘さんでいらっしゃいます。

    こうして、着物を介してまたひとつ親子の思い出が増えるって素敵ですね。

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  • 単衣の集い1

    さて、ここに現れました和服姿の美女集団、その正体とや。。。

    昨日6月14日、いつもご贔屓にしていただいているお客様と着物でお食事会をしました。私たち親子を含め、親子三組の小さなお食事会。氷見の高級旅館、稲六にて。絲穂から徒歩5分ほどのところにありますので、着物でのそぞろ歩きにぴったりのロケーションです。お料理の味が抜群なのはもちろんのこと、館そのもの、通されるお部屋そのもの、お道具そのものに大変な価値があり、大切な日本文化が凝縮された旅館です。

    この日は特別に、ご主人からお部屋に掛けて下さったお軸の説明を伺うことができました。江戸時代、狩野派のものだそうですが、お軸のことだけでなく当時の文化や歴史をふまえて詳しく楽しくお話ししてくださったので、とても勉強になりました。

    写真は旅館へ向かうお客様親子の後ろ姿、それぞれの個性が光ります。それにしても和服姿とは、大変華やかなものですね。少人数だと、なおそう思います。私は常々、和服姿にはそれに伴う背景や風景という余白が必要だと思っています。よく、ぞろぞろ歩く着物の大集団を見かけますが、華やかというより、どこに焦点を置いていいのか分からないという印象を受けます。今回の集いのように少人数であれば、それぞれの魅力がきちんと発揮されますね。あまり大人数でないことも、着物を活かす大切な要素です。

    さてさて、詳しいコーディネートの全貌は、明日のブログで。ご期待下さい。

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  • もうすぐ父の日

    6月21日は父の日です。

    オーソドックスですが、ネクタイはいかがでしょう。 絞りのタイプは、当店で人気のベストセラー。 おもしろさも高級感もあり、実際に着けると男前度数がぐんとアップいたします。

    他にも、扇子(ケース付)や携帯灰皿などの男性向きの小物をご用意しております。

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  • 絲穂の楽しみ方6

    県内、梅雨入りしました。

    雨の日は、前庭を臨むスペースへ。 水たまりにできる波紋、雨粒の重みで枝垂れるカエデ。 その雨粒は、晴れ間に陽が差せばきらきらと輝きを放ちます。

    雨の日にしか経験できない風景があります。

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  • 黒地の半幅帯

    浴衣の季節到来ということで、店内には毎日いろいろな浴衣が提案されています。今年は、黒をベースにした半幅帯に注目しています。

    黒という色は、とても難しい色だと思います。ちょっと間違えると上品さに欠けてしまったり、暗いイメージになってしまったり。黒地のきものすっきりと着こなすということに抵抗のある方、意外とたくさんいらっしゃるのでしゃないでしょうか。

    けれど、例えば帯という躯を覆う部分の少ないもので取り入れてみてはいかがでしょう。それも、半幅の帯で。半幅は名古屋帯と違っていろいろな結び方ができますから、うまく可愛さや上品さを表現できます。

    浴衣と合わせるとなお一層引き立ちます。浴衣には、きものでは表現しにくい色や柄がデザインされることも多いので、普段は似合わないと思っている色にもチャレンジでき楽しい冒険にもなります。

    さて、まったく雰囲気の異なる浴衣に黒地の半幅帯をのせてみました。皆さま、どのような印象をお持ちになりますか?

    こちら、総絞りの浴衣。絞りの名門、藤井絞り製。 帯はとてもシンプルなデザインですが、大胆で可愛らしいイメージの浴衣にうまく落ち着きを与えています。

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    こちら、綿紅梅の浴衣。とても面白い模様ですね。色もお洒落です。浴衣にも帯にもある、横に走るラインを活かしました。 シンプルですが、とっても人目を惹く組み合わせではないでしょうか。

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  • 悲しみよ こんにちはーフランソワーズ・サガンー

    サガンの名作『悲しみよこんにちは』 を読まれたことはありますか?今年は作品が誕生して50周年ということで、日本でもサガンの人生を映画化したものが、まもなく放映されるそうです。

    初めて読んだ中学二年の時から、この作品は私にとってなくてはならないものとなりました。「ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、私は迷う。」という始まりは、当時の私の心を捉え、小説に引き込まれて行きました。主人公である17歳のセシルに、理性的な女性アンヌが(セシルの新しい母親になる予定の女性)恋愛について次のように諭す場面があります。「あなたは恋愛について少し単純すぎる考えを持っているわ。それは独立した感覚の連続ではないのよ。」…「そこには絶え間ない愛情、優しさ、ある人の不在を強く感じること。」このあたりの台詞がとても印象的で、特に「ある人の不在を強く感じること」という部分は、10代の私には理解に難しかったのですが、いつか理解できるハズだと思いそれから毎年、読み返すようになりました。同じ作品でも、毎年感じ方が違うものです。それまで読み過ごしていたところを、突然面白いと感じたり、逆に大好きだった場面がそうでもなくなったり。作品に対して新鮮さを感じると同時に、自分という人間の新たな一面を発見することにもなります。

    登場人物は17歳のセシル、プレイボーイのセシルの父、その恋人エルザ、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌ、セシルのボーイフレンドのシリル。17歳の少女特有の純粋さ、それゆえの残酷さ、独占欲、完璧なものに対する反発など、微妙に揺れ動く心理状態を軸に物語は展開します。

    さて、この5人が織りなす悲しみの世界とは、いかに‥。


  • 復元 江戸時代のきもの

    ただ今、関西学院大学、時計台展示室にて、現代の職人によって復元された 江戸時代のきもの(当時きものは小袖と呼ばれていました)が展示されています。できるかぎりの当時の技法を使って復元された作品はどれも、絞り、友禅、刺繍すべての点において素晴らしく、美しいものでした。実際に使われた型紙、繭、糸、染料、など普段目にすることのできない貴重なものもたくさん見ることができます。制作工程のビデオ上映も行われており、きものだけ見ていても分からない細かい作業や職人さんの技に見入ってしまいます。見えないところで手を抜いてないものは、きちんとした結果として顕れるのだということを痛感します。6月20日(土)13時半〜「きもの職人こぼれ話」と題して、職人さんの講演があるそうです。入場無料。

    同時に展示されています、江戸時代の小袖裂もたいへん見応えがあります。こんなにも貴重ないろいろを、こんなにも間近で見ることができるなんて、なんと贅沢な企画でしょう!!お近くにお住まいの方、お近くまで行かれる方、ぜひ足をお運び下さい。7月15日まで展示されています。

    関西学院大学文学部文化歴史学科美学芸術学専修