• 『父の背中 子がつづる北陸ゆかりの志士たち』

    先日、偶然にみつけた本です。『父の背中 子がつづる北陸ゆかりの志士たち』。戦前戦後に名を残した北陸ゆかりの文士、画家、実業家(井上靖、高見順、棟方志功、室生犀星 etc…)など12人の子息が、父親の姿について書いたものです。様々な父親像がとても興味深く描かれており、たいへん面白く読めます。

    印象に残っているのが、高見順さんを父に持つ、タレント高見恭子さんのエッセイです。ひとりの父親としての姿よりも、小説家 高見順としての姿を貫き通した父の遠い背中、時に見せてくれた愛情など、ちょっと切なくて、とっても素敵なエピソードでした。

    どこかで目に留まれば、手に取ってご覧下さいね。


  • エクセーヌのお草履

    人気シリーズのエクセーヌのお草履が、いろいろ入ってきました。こちらは、グレーの台に、組み紐の鼻緒という組合わせ。暈しのデザインが素敵です。上品な雰囲気は、フォーマルシーンにも活躍します。シックな小紋と合わせても、お洒落でしょうね。

    エクセーヌ


  • ビロードの、黒い羽織りコート

    さて今年も、ビロードの黒の羽織りコートを楽しんでおります。昨年も好評をいただきましたこちらの羽織りコート、今年も引き続きご予約を承っております。一度袖を通したらくせになる生地の心地よさ、軽さ、シルエットの美しさ…。からだの動きにぴたりと添ってくれます。柄の付け方が、またお洒落なのですよ。是非、当店でご覧になって下さいね。

    黒羽織

    黒の羽織りと決めた日は、帯で少し華やかさを出すようにしてます。この日は、渋い緑地の江戸小紋に、臈纈染めの帯を締めています。全体的に落ち着いた色目ですので、帯の赤や黄色などでポイントをつけました。帯もシックに決めたい場合は、バッグやお草履にビビッドな色を配置してもいいですね。羽織りの黒を活かしながら、とにかく一カ所、アクセントをつけると素敵だと思います。


  • つんとした空気

    秋の深まりを日ごとに感じます。もみじは、まだまだ青いのですが、やはり夏の頃の青さとは違います。暑い頃は、葉の先まで瑞々しい勢いがありましたが、この頃は、秋のつんとした空気に、葉の先までつんとしたような、少し緊張したような風情を見せています。特に気温の低い朝は、空気にくっきりと葉の輪郭が映え、とても美しいものです。

    カエデ1

    前庭を臨むスペースは、特等席です。秋のつんとした空気を、ぜひ楽しんで下さい。

    カエデ2


  • 吉数の彩りー雲取りの振袖ー

    赤や白など、明るい色の着物ばかりをきれいだと感じていたその昔、この振袖の良さが解りませんでした。地色の深みや、雲の彩りのバランス、大きさのバランス、纏ったときのバランス、桶絞りの集大成です。今となれば、雲取り文様だけで一枚の着物を仕上げる難しさを、ひしと感じます。かっきりと美しい雲たちが、吉数の「八」の格好でもくもくと上昇する様子が格調高く表現され、いかにも成人の門出のための振袖です。着る人の、これからの素敵な人生を思ってつくられたのだと想像します。

    kumo

    さて昨今、ただ色違いの花柄ばかりの、生地もペラペラした振袖が目立ちますが、それらは、着る人にきちんとしたメッセージや意味を持っているでしょうか。色がきれいだとか、模様が好きであるといったことは、もちろん重要な要素ですが、せっかく人生の節目になる着物ですから、作り手からのメッセージを受け取ることのできる一枚を、この世に一枚しかないような、ご縁があったと感じられるような振袖をお召しいただきたいです。


  • 指が訴えること

    秋晴れの空に恵まれたとある日曜、京都の東福寺にて舞「松の緑」をみせていただくご縁をいただきました。林泰子さんという舞踊家の方の企画で、今回のテーマは「指(手)が訴えること」。昨今、自己表現やコミュニケーションと言えば、メールばかりの世の中ですが、果たして言葉だけで十分でしょうか。言葉では足らない部分を、例えば手の表現で補ってみてはいかがでしょう、という舞を通じてのサジェスチョンです。

    「松の緑」は、右手に持った扇でいろいろな表現をする舞なのですが、扇を投げて受け取る動作や、要返しなどが繰り返されるので、体のほかの部分のゆっくりした動きに対して、手の動きは躍動的で目立ちます。たくさんの動きを、きっちりと美しく手指で表現するには、扇を自分の手の延長として、先にまで神経を集中させる訓練がどれだけ必要かと思います。

    舞に限ったことではなく、日常においても我々の手はいつも手ぶらではありません。バッグを持ったり、ペンを持って何かを書いたり、お箸を持って食事をしたり、様々な動作をします。とても無意識的に。この日常の動作ほど、良くも悪くもその人「らしさ」が表れるものはありませんね。これら無意識のことにきちんと意識を向けてみると、うまく「自分らしさ」を表現できるのではないかと、舞を通して感じました。日常と、自分自身を見直す良いチャンスでした。

    ちなみに林さんご自身は、例えば相手にコップを差し出すときには両手で置く、書類を差し出すときも、空いている手を添えるなど、ものを丁寧に扱うことを大事にしていらっしゃるそうです。それは同時に、相手を尊重することにもなり、物事が円滑に運ぶことに繋がるとのことでした。

    言葉だけでは、十分ではありません。言葉を尽くせば尽くすほど、伝わらない場合も多々あります。しぐさだけでも十分ではありませんが、言葉を補う方法としてのしぐさ、自己表現をうまく身につけたいものです。


  • 月の帯、黒地の提案

    エントランスにて。先日より竜巻絞りの着尺に、いろいろな帯を合わせて提案しています。月をモチーフにした、趣味性の高い帯との相性もバッチリですね。優しい色合いの着物に黒地の帯を締めると、ぐっと引き締まった印象に仕上がります。ちょうど今頃、気温が下がり秋の深まりを感じる頃に、しっくりぴったりとくるコーディネートです。

    月の帯


  • バティックのストール

    シルクのストールが人気です。インドネシアのバティックをほどこしました。手描きならではの上質感、存在感でワンランク上のコーディネートを。大判なので、和装の時にふわりと肩にかけて楽しむこともできます。シワになりにくいので、旅行でも活躍しますよ。

    バティック