型染作家 松原秀子氏の講演

11月1日日曜日、関西学院会館にて、型染作家 松原秀子さんの講演会が行われました。「型染の魅力についてー実演とともにー」というタイトル通り、実際に型染版画を作る様子を見せていただける貴重なひととき。型染の着物や帯をいろいろ思い出しながら、渋紙の下絵を彫る作業に、糊置き、彩色、水洗と、簡単にですが一通りのプロセスを拝見していると、今までボンヤリと感じていた型染の良さをようやくきちんと理解できたような気がしました。

松原さんは、装画や蔵書票の型染作家さんです。作品の中でもわらべの図案が印象的なのですが、ご自身、彩色の時にはわらべのホッペを一番に色付けすることでテンションを高めて行かれるそうです。スカーレットという色で染められるホッペは、仕上がるとなんとも可愛らしいピンク色となり、わらべの愛くるしい表情を作り出します。作家さんによって始まりの色は様々だそうで、それが型染の魅力のひとつとのこと。型彫りの時には、下絵通りに彫るよりも、気分次第に刀を進めることが大事なのだそうです。型にハマらない型紙作り、輪郭の中にいかに個性を表現するか、それもひとつの魅力とのことです。

さて、ただ今関西学院大学博物館(時計台)にて蔵書票の展示展が行われております(12月18日まで)。蔵書票とは、自分の蔵書であることを示すために本の見返しに貼り付ける紙片のこと。愛書家たちが自分の名前とともに好みの図柄を版画家に注文して作らせることが多く、次第に実用から離れ小さな版画作品として鑑賞、収集されるようになりました。いろいろに個性あふれる数々の蔵書票、関西学院でお楽しみいただけます。竹久夢二、棟方志功の作品もあります。芹沢銈介の蔵書票も。もちろん、松原秀子先生の作品も。私は個人的に銅版の「夜の銀座、春の雪」という蔵書票が好きでした。

是非みな様も、お気に入りの一枚を見つけてください。型染の魅力、たっぷりです。

20091102