優しさとは

当店のサロンスペースでは、ゆったりと時間を過ごしていただくために、いろいろな雑誌を揃えております。個人的に雑誌『ミセス』が近ごろ気に入っています。

12月号の記事に感銘を受けたものがありました。以前にこのブログでもご紹介しました(2月12日)料理家の辰巳芳子先生の特集ページです。命の源であるスープを、食べものが喉を通りにくい病人にこそ食べて欲しいという先生の取り組みと、実際に先生のレシピに沿ってスープを作り、病人を看取った方からの感謝の手紙が紹介されています。

次々に転移するガンと脳梗塞を患い、食事もろくにとらなくなった父親に、辰巳先生のポタージュを飲ませたところ、一口いただいてから両手をひざに降ろされてしまったそうです。ああ、やはりダメだったかと思ったところ、「私には娘がおります。」と目の前の娘さんに仰ったそうです。「このスープを食べさせてやりたいから、娘を連れてきて下さい。」と。もはや、目の前にいるのが実の娘とも分からない状態であったにもかかわらず、自分を思ってくれる父の 優しさ、その瞬間に、スープが与えてくれた優しい時間を感じられたとのこと。

読んでいて、心を打たれました。こんな優しさもあるんですね。優しさの在り方は様々ですが、心も体も温かくなるスープの優しさに触れてみてはいかがでしょう。是非、『ミセス』を手に取って御覧下さい。それから、『あなたのためにーいのちを支えるスープ』も併せて。

「優しい」と「優れる」、どちらも同じ字を当てます。本当に優しいものは、本当に優れているのでしょう。優しいスープほど優れた食べ物はないのかもしれません。