『かさ』という絵本があります。文字が一文字も出てこない絵本です。文字がないだけに、なお伝わる心情があります。最後には自然とほほえんでいます。大人にも是非オススメです。印象的な色彩もお楽しみ下さい。
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『白洲正子のすべて』
白洲正子の愛したもの、こと、交友関係、次郎との出会い、夫婦としてのあり方など、まさにすべてを一冊にまとめたのが、ずばり「白洲正子のすべて」。その世界は、奥深く興味深く、何度読んでも飽きません。次郎と正子夫婦のことについて書いたページがあります。その中で、「ふたりは、妥協し合うのでなく最大限に自分らしくあり続けた夫婦である。ゆえに、夫婦円満の秘訣は一緒にいないことであった。」という部分が個人的にとても印象に残っています。次郎さんも正子さんも、それぞれ素敵な方ですが、このふたりがパートナーであったからこそ、生き方がいつまでも人の心を打つのでしょうね。自分の世界観をしっかり持ちながら、相手の世界観も尊重できるなんて、理想的です。
合わせてどうそ。自ら銀座に染織工芸の店を始めた正子さんの著作『きもの美ー選ぶ眼 着る心ー』。心にヒットする言葉がたくさんありますよ。
「きものは物質にすぎませんが、織った人間の心が、これ程現れるものもありません。」とか。
「商品というものは一種の生きもので、こちらが生きていれば向こうも生き生きする。」とか。
とにかく、テンポよく楽しめます。
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『花伝書(風姿花伝)』ー世阿弥編ー
観阿弥という人は、鎌倉時代末期に、滑稽卑俗な物まね芸能であった申楽(さるがく)を芸術性豊かな歌舞伎本位の新しい申楽に演りかえ、芸術の本質を考究しました。その芸術論を『花伝書(風姿花伝)』にまとめたのが、子である世阿弥でした。
「秘する花を知ること。秘すれば花なり、秘せずば花なるべからずなり。」という一節に心を打たれ、10年以上経った今でも迷うことがあればこの『花伝書』を読み返します。芸や稽古に対する姿勢だけでなく、生きることそのものに通じる言葉が散りばめられています。ちょっと難しい内容のように思われるかもしれませんが、現代語訳を利用すれば簡単に読めます。大きく頷けることばかりです。
もっと身近に感じたい方へ。『世阿弥に学ぶ100年ブランドの本質』はいかがでしょう。
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『森田空美の知的きもの入門』
世にきもののコーディネート本は数多ありますが、いつ読んでも素敵で参考になるのは、『森田空美の知的きもの入門』。着付けのページもあるので、ひとりで練習する時に助かりますよ。パート2もありますが、その中では意外と知らないことの多い、喪の装いが紹介されています。
きものを着る時にはイメージトレーニングがとても大切です。秋の夜長は、自分の和服姿をイメージしつつそのまま夢に見て下さい。
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おあずけ
しばしば、おあずけを食らいます。
祖母や母が昔着ていた着物を仕立て直してもらおうと、箪笥の中から好きなのを選び羽織ってみる。けれど、イマイチ似合わない。今の年齢では着物に負けてしまう。もう少し年齢を重ねなければ、袖を通してはいけないなと感じる時があります。 しばし、おあずけ。
大好きな着物があるけれど、ぴったり合う帯がなくて纏うチャンスに恵まれていないなんてことも良くあります。いつか、惚れ込む帯に出会うまで、おあずけ。
悔しいけれど、なかなか素敵なおあずけ。5年後10年後には、絶対にあの着物を着こなせるようになっていたいという、ひとつの目標ができます。コーディネートがバッチリ決まったら、お洒落なレストランで食事をしたいとか、歌舞伎を観に行きたいとか、いろいろ想い巡らせるだけで元気になれます。
時どき、あおずけを食らうのもいいものです。
さて、来週は秋の夜長のために、おススメの本をご紹介しようと考えています。
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暮らしの中の手仕事展ー白洲正子の美に習うー
大津市比叡平にありますギャラリー夢風庵にて、暮らしの中の手仕事展 が行われました。白洲正子さんが愛したような美くしい暮らし空間が提案されていました。きものだけでなく、飾棚、タペストリー、ステンドランプ、陶器などなど、まさに真なるこうげい品の数々。大好きな空間です。展示会の期間だけでなく、常時美しいこうげい品を見せていただくことができます。
ギャラリー夢風庵 素敵な外観
階段には、、、
ついつい入りたくなってしまいます。
※昨日まで「白洲」が「白州」となっておりました。訂正いたします。