朝の空気に、しっかりとした秋の訪れを感じます。もみじの葉も思いおもいに色づき、石段に落ちます。
まだ薄物に袖を通していますが、秋単衣にぴったりのモカやベージュ系の優しい色合いに惹かます。
立巻絞りの着尺、地風の大変柔らかい織物です。いびつな縦縞が、優しい雰囲気です。帯は生紬。少し張りがあり、帯選びに悩む9月にとても重宝します。こっくりとした茶色も魅力です。
きもの選び、帯選びに迷い悩むこの季節が、最もきものを楽しめる時期でもあるように思います。
富山県氷見市の呉服屋 きものの館絲穂
まもなく8月が終わります。この夏の思い出は、青虫のさなぎが羽化したことでしょうか。
自宅の前に植えた花の葉に、産みつけられた卵。数日後に大きな青虫がくねくねと。ひたすら青い葉を食べ続け、数日後、さなぎになりました。「はらぺこあおむし」の歌の通り、「さなぎになって何日も眠り」ある瞬間、虫箱の中で大きな羽根を広げていました。その時の感動と言ったら!
羽化したらお空に放してあげようと言う約束通り、息子と虫箱の蓋を開け「元気でね〜。」自由に飛んで行く姿に、嬉しさと少しの寂しさが混ざります。夏の終わりは、何だかいつもこんな気持ちになります。美しいアゲハでした。
変身するために食べて食べて、養分やパワーを蓄え、じっくり休む。成長すること、生きることの根本的なことを見せてもらいました。
息子の通う幼稚園では、音感が盛んです。ある日、教材の音感カルタを見てびっくり。私が在園していた頃とまったく同じなのです。当然、発声練習も同じで、園児の歌声を聞いた時はとても懐かしく、様々な記憶が甦りました。お気に入りは、ソの「そらまでとぼう」とシの「しかられた」。当時の先生の顔とよく通る声と、口の形まではっきりと思い出しました。言葉は不思議で、リズムに乗せると途端に色々な場面や感情とリンクするものですね。
ファは「ファントマだ」。強そうなロボットで、何か不安なことがあると、カルタの絵を思って頑張ったものです。そう言えば、この音感は小学校に上がっても私の心に響くものであったことを、思い出しました。
そして今また、ファントマは私の心に再び。どうやらまた、お付き合いいただくことになりそうです。