明日は母の日ということで、お母さんの詩をひとつご紹介します。
大好きな詩人のひとりである、サトウハチロー氏の作品。サトウハチローという名前、皆さんはご存知ですか?名前を知らなくても、たとえば「うれしいひなまつり」、「ちいさい秋みつけた」などの童謡や、「リンゴ可愛いや 可愛いやリンゴ♪」のフレーズでお馴染みの「リンゴの唄」は一度は耳にされたことがおありでしょう。これらの詩の作者です。
産みの母親と思春期に死に別れる運命にあったサトウ氏の作品には、幼い頃に刻まれた母の記憶や母への思いを綴ったものが数多くあります。その中から、「母という字を書いてごらんなさい」というタイトルの詩を。
母という字を書いてごらんなさい
母という字を書いてごらんなさい
やさしいように見えて むづかしい字です
恰好のとれない字です
やせすぎたり 太すぎたり ゆがんだり
泣きくづれたり‥笑ってしまったり
お母さんにはないしょですが ほんとうです
皆さま、どのような感想をもたれますか?母という字は言われて見れば、女性の姿がそのまま形になったかのように見えてきました。母親というひとりの女性の捉え方がうまいですね。たった数行の詩ですが、深いメッセージ性を感じます。また、男性の視点だからこそ捉えることのできた母の姿なのかもしれません。他の詩も読んでみたいと思われた方は、ハルキ文庫『サトウハチロー詩集』をお求め下さい。
