『白洲正子のすべて』

白洲正子の愛したもの、こと、交友関係、次郎との出会い、夫婦としてのあり方など、まさにすべてを一冊にまとめたのが、ずばり「白洲正子のすべて」。その世界は、奥深く興味深く、何度読んでも飽きません。次郎と正子夫婦のことについて書いたページがあります。その中で、「ふたりは、妥協し合うのでなく最大限に自分らしくあり続けた夫婦である。ゆえに、夫婦円満の秘訣は一緒にいないことであった。」という部分が個人的にとても印象に残っています。次郎さんも正子さんも、それぞれ素敵な方ですが、このふたりがパートナーであったからこそ、生き方がいつまでも人の心を打つのでしょうね。自分の世界観をしっかり持ちながら、相手の世界観も尊重できるなんて、理想的です。

合わせてどうそ。自ら銀座に染織工芸の店を始めた正子さんの著作『きもの美ー選ぶ眼 着る心ー』。心にヒットする言葉がたくさんありますよ。

「きものは物質にすぎませんが、織った人間の心が、これ程現れるものもありません。」とか。

「商品というものは一種の生きもので、こちらが生きていれば向こうも生き生きする。」とか。

とにかく、テンポよく楽しめます。