芳輪ー京都 松栄堂ー

昨日は啓蟄でした。いかにも虫たちが這い出てきそうな、春の一日でしたね。

日差しが出てくると、マップを手に商店街を歩く観光客の姿が多く見られるようになりました。先日は栃木からの女性おふたりが、フラリとお立ち寄り下さいました。入るなり、芳輪の香りがすると言われ、しばし松栄堂 堀川の香りで話に花が咲きました。

芳輪は、毎朝たきます。今日も一日無事に過ごせるよう、思いを香の道筋にたくしながら。香の流れる様子には、単純に「けむり」と言ってはいけない美しさがあります。時に渦を巻くように、時に真っ直ぐ竜巻のように、時にかな文字のような風情でこれから起こる出来事を知らせるように。そうしていつの間にか、店の至るところに、その香が染み付いているようです。

目には見えませんが、しかとその存在を現す芳輪、さて今日はどのような展開になりますでしょうか。