朝のリレー

桜は散りましたが、もみじの葉は次々と開き、春真っ盛りであることを自然は教えてくれます。

心の晴れない毎日でも、朝がやってくることの有り難さを感じながら、心が折れないように、折れても何とか立ち直れるよう、でも無理しないように。

清しい朝を連想させる、東京友禅の着物を広げてみました。

谷川俊太郎さんの「朝のリレー」と共に。

朝のリレー

カムチャッカの若者が

きりんの夢を見ているとき

メキシコの娘は

朝もやの中でバスを待っている

ニューヨークの少女が

ほほえみながら寝返りをうつとき

ローマの少年は

柱頭を染める朝陽にウインクする

この地球では

いつもどこかで朝がはじまっている

 

ぼくらは朝をリレーするのだ

経度から経度へと

そうしていわば交替で地球を守る

眠る前のひととき耳をすますと

どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる

それはあなたの送った朝を

誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ