続きものを着るときは

個人的な心がけですが、きものを着る前日は足袋や下着にアイロンをかけます。そんな面倒なことしなくても、今どきはノンアイロンの足袋もありますよなんて言われそうですが、敢えてそうしているのです。

皺を伸ばしながら、いろいろ考えるんです。着姿を想像して、翌日の予定に思いを馳せる。円滑に物事が運びますようにと、願いをかける。おまじないのようなものです。

それに、皺が伸びた下着は気持ちがいい。自分にしか分からない満足感ですが、きものを着るときには、そういった人の目に見えない所作がとても大きく作用していると思います。

面倒なことも、やってみると意外とやみつきになったりして。自分だけの密かなやり方を作ってみるのも、きものの楽しみ方のひとつです。