• 新しい空間

    近ごろ、少し店内の雰囲気を変えました。

    前庭を臨むスペースを贅沢に取り、上質の袋帯をディスプレィ。文化に触れながら、ゆっくりと時間を過ごしたい方に最適な場所になりました。

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  • 予告

    立松和平氏の『きもの紀行』シリーズは、今月で終了します。皆さま是非、お手元に一冊。写真を見ているだけでも美しく、奥深さを感じます。

    さて、来月からはこちらの染色現代日本地図にのっとり、日本列島きものの旅シリーズを始めてみます。きものを作る技術だけを外国人に教えコストを低くし、外国で大量に安い商品を作ってみても、それは「きものまがい」です。その土地その土地に根ざした草木、水、土、空気、光、人間すべてが合わさって初めて「きもの」であること、私なりの言葉で伝えて行こうと思います。日本は美しい国です。

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    地図提供、太田和株式会社


  • 『きもの紀行』シリーズ3ー甲田綏郎の世界、家族の絆が繋ぐ袴ー

    立松和平氏の『きもの紀行』第三弾は、精好仙台平(せいごうせんだいひら)という袴に注目してみましょう。

    もともとは、仙台藩が生産した御用織物である仙台平ですが、今では甲田綏郎(よしお)さん一家のみが織る大変貴重なものとなりました。身に着けると、その価値はまさに身を以てわかるそうですが、生地に触れてみるだけでもわかります。この袴は、ただものではないという緊張感が指先に走ります。背筋が伸び、拝みたくなるような神々しさが漂います。張りと柔軟性の見事な融合。やはり男性のためのもの。女性には着こなせない位の高さを感じます。

    『きもの紀行』に、「一糸現念」という言葉が紹介されています。甲田家に代々伝わる言葉で、立松氏曰く、

    機を織るときの心構えであるという。一糸に、糸を紡ぐ人、染める人、織る人、着る人、すべての思いが現れるという意味だろうか。

    身に着ける人が檜舞台に立つことを想像し、全身全霊をかけて織る、それが甲田家のやり方。先代の甲田栄佑さんの教えは、綏郎さんと、後継者である娘さんたち、お姉さん、妹さんにしっかりと受け継がれています。

    伝統を守り、仕事を守り、家族を守る。容赦なくはいってくるものと戦って、結局、伝統と仕事と家族だけが残ってきた。この道以外に生きる道はないんですね。。。仕事していく過程で、親の心の受け継ぎがわかります。親から子への魂の受け継ぎなんです。一生が勉強です。根気がいる仕事ですから、いつも心を平にして、一心に仕事に打ち込めるのも、家族の支えがあるからこそなのです。

    と、綏郎さん。仙台平の神々しさは、甲田一家の絆から生まれ出ているのでしょうね。

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  • 昨日のお客様

    3月4日に着付けの練習にいらっしゃったお客様、本日は袋帯にチャレンジです。

    お着物は同じ江戸小紋ですが、帯によって雰囲気がガラリと変わります。初めてのチャレンジでしたが、きちんと帯の形が出来上がっています。

    今度は、お子様の入学式にお召しになるそうです。卒業式と入学式で同じ着物を二度楽しむやり方、素敵ですね。

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  • 新芽

    先日からの気温の上昇で、カエデの木がたくさん新芽を出し始めました。赤く愛らしく、見る者の心を穏やかにしてくれます。

    昨今、不況だ不況だと世の中騒がしい様子ですが、自然は春になれば春の様子を呈し、どんと構えていますね。毎日きちんと朝が来て、日が暮れる。雨が降って土を濡らす。今年は桜の開花も早いようで、人間界は不況だから今年は咲くのやめてみようかって桜はないみたいですね。

    温かくなれば、さぁ咲こうかってなもんで。 現実、不況なんでしょうが、そろそろ不況という言葉にも飽き飽きですから。皆さん、カエデの新芽を見てしばし癒しの時間でもいかがですか。


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  • 続きものを着るときは

    個人的な心がけですが、きものを着る前日は足袋や下着にアイロンをかけます。そんな面倒なことしなくても、今どきはノンアイロンの足袋もありますよなんて言われそうですが、敢えてそうしているのです。

    皺を伸ばしながら、いろいろ考えるんです。着姿を想像して、翌日の予定に思いを馳せる。円滑に物事が運びますようにと、願いをかける。おまじないのようなものです。

    それに、皺が伸びた下着は気持ちがいい。自分にしか分からない満足感ですが、きものを着るときには、そういった人の目に見えない所作がとても大きく作用していると思います。

    面倒なことも、やってみると意外とやみつきになったりして。自分だけの密かなやり方を作ってみるのも、きものの楽しみ方のひとつです。


  • きものを着るときは

    さて、ずいぶんと温かくなって参りました。お天気が良いときものでのお出かけも楽しくなりますね。私がきものを着る際に気をつけていることのひとつに、下着選びがあります。特にこれからの季節はしっかりと汗と取ってくれるもの、肌に優しいものがベストです。

    ここ数年間愛用している肌襦袢が、こちらのあしべ織汗とり。吸水力の大変強い天然素材、燈芯が主な材料で、夏は汗取りになり冬は温かく防寒の役割がありますので、オールシーズンお使いいただけます。あせもでお悩みの方、一度ぜひお試し下さい。ちょうどお腹周りの部分が二重に織られておりますので、細身で補正が必要な方はタオルなしでもしっかりと帯が胴にのり、安心感を得られます。

    私はこの肌襦袢に出会ってから、こればかり。半信半疑で試されたお客様も、洗い替えに二枚目をお求めにいらっしゃいます。Mサイズ14,000円、L15,000円と、少し値は張りますが後悔はさせません。

    また、裾よけはキュプラという素材をお薦めします。汗をかいてもサラサラとしており足にまとわりつきません。特に、長時間正座なさる場合や舞踊のお稽古などに最適でしょう。下着は見えないものですが、肌に一番近い部分ですので、決して軽視なさらないで下さい。下着の素材感、有り様によって着姿や精神的な満足感がまるで違ってきます。今春は下着にご注目下さい。

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  • ケーキハウス ツマガリ 2

    昨日に引き続きまして、津曲語録をご紹介します。今日の語録は、呉服業界にもどの業界にも当てはまる深いお言葉です。

    タイトル;変わるものを追いかけてはいけない

    「モノを作っていく上で、流行しているものを追いかけたり、ただ形をまねするのではなく、伝統を知ったり、素材を知ることの方が大切です。そういう物事の基本になるものを知ることで、初めて応用させることができ、そこに独自性が生まれます。本質というものは、原理原則を追求したあとでようやくわかってくるものなのです。」

    大抵どのお菓子屋さんにも、これはずば抜けて美味しいけれどこれはイマイチといったように、商品によってズレがあると思いますが、津曲さんのお菓子は、どれを食べてもツマガリの味をしています。舌が肥えているわけでもないのに、偉そうなことばかり書きますが、本当にそうなんです。舌が素人の私にも分かります。クッキーにも、パイにも、パウンドケーキにも、それぞれの美味しさがありますが、どれにも同じ基本の味のようなものを感じます。どれを食べても外れはない安心感です。語録にあるように、素材や基本を大切にされている社長の理念が、きちんと味に表れています。

    甲山想い出小石という名のマカロンがあります。昨今のマカロン流行りで、色とりどり味もいろいろのマカロンを置いている店ばかりの中で、ツマガリさんのマカロンは究極にシンプル。ガナッシュチョコレートをアーモンド風味の生地で挟んだもの、ただ一種類。これが絶品です!冬季限定の販売ですので、来年をこうご期待。いつか自分ならではのマカロンを作りたいと、社長が20年越しで作り上げたものなんだそうです。何でも、本当にいいものは、たくさん作れないものなんですよね。


  • ケーキハウス ツマガリ

    西宮市は甲陽園というところに、洋菓子専門店のツマガリがあります。神戸に星の数ほど洋菓子店あれど、ここの焼き菓子には敵わないと思っています。定期的に、新商品やオススメ品の案内が届くのですがそこに社長である津曲さんの「津曲語録」が載っています。今日、明日とその一部をご紹介します。 本日は「好きな仕事に出会えた人は幸せ、また、好きになることも大切」というタイトルで始まるエピソードです。

    「私が若い時、運搬の仕事やさまざまな仕事を経験してからようやく洋菓子の仕事に出会いました。今から思えば、その当時に養われた強靱な体力や反骨精神が糧となったからこそ、この仕事に出会うことができ、続けて来られたのでしょう。コンテストに入賞してからというもの、寝ても覚めても考えるのはお菓子のことばかり。何事も一生懸命になることから道は拓けると思っています。」

    一生懸命という言葉通り、津曲さんのお菓子は誠実です。いつ食べても裏切らない、贈り物にしても必ず喜んでもらえる、そんな誠実な味がします。きっと誰が食べても美味しいと言うに違いない味なのに、決して大衆的な味ではありません。かといって、素朴とも違う。何かがあるんです。それが、他の人には真似できない感性なんでしょうね。津曲さんの歩んで来られた人生の中でしか出せない味なんでしょうね。

    個人的な感じ方ですが、津曲さんのお菓子はシンプルです。素材の良さを大切にしたシンプルさ。素材に誠実。それが飽きない理由なんだと思います。なかなか本店まで行けない私は、いつも大阪の大丸デパートの地下で入手しています。大阪駅の方まで行かれた折には、是非お土産に買って帰って下さい。店舗をたくさん持たない、ケーキなどの生菓子は本店でしか売らないやり方も、魅力のひとつです。

    ツマガリ