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  • 色を奏でる

    6年ぶりでしょうか。本当にひさしぶりに『色を奏でる』を読み返してみました。重要無形文化財保持者の、染色家志村ふくみさんの著作です。皆さまは、美しい桜色は実は花びらからではなくゴツゴツした皮や枝から染められることをご存じですか? 咲いてしまった花からは色は出ないのだそうです。美しい花を咲かせようとたゆまぬ生命活動を続ける幹にこそ桜の精が宿っているとのこと。神秘的なエピソードで、何度読み返しても飽きません。自然の草木からいのちをいただき、染めることを通して、我々人間のいのち、人間として活きることを考えさせられる一冊です。志村さんの言葉とともに載せられている自然の風景写真、草木で染められた絹糸、織物も美しく、大変読み応えがあります。

    『色を奏でる』志村ふくみ・文、井上隆雄・写真 ちくま文庫、1998

    いつか機会があれば、是非志村さんの織られた作品を実際にご覧になってください。自然の美しさ、強さ、優しさに涙が出ます。


  • 想像させる着物

    墨書きの東京友禅の訪問着です。個人的には銀世界の夜明けをイメージしておりますが、皆さまはどのように感じられるでしょうか?

    きものは、身を包む衣であるだけでなく、一枚の絵として、見る者の想像力に働きかけるものでもあります。

    今年は、きものを通して見えてくるいろいろ、様々なことも合わせて提案できたらいいなと思います。きものは、ただの布っきれではありません。

    kimono


  • 朝のリレー

    朝のリレー

    カムチャッカの若者が
    きりんの夢を見ているとき
    メキシコの娘は
    朝もやの中でバスを待っている
    ニューヨークの少女が
    ほほえみながら寝がえりをうつとき
    ローマの少年は
    柱頭を染める朝陽にウインクする
    この地球では
    いつもどこかで朝がはじまっている
    ぼくらは朝をリレーするのだ
    経度から経度へと
    そうしていわば交替で地球を守る
    眠る前のひととき耳をすますと
    どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
    それはあなたの送った朝を
    誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

    (谷川俊太郎詩集『これが私の優しさです』集英社文庫 より)

    2009年が無事に朝を迎えました。
    善き一年となりますように。
    清々しい朝の詩で始めました。

    皆様はどのような朝を迎えられましたか?

    新年は3日より営業致します。