朝のリレー

朝のリレー

カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

(谷川俊太郎詩集『これが私の優しさです』集英社文庫 より)

2009年が無事に朝を迎えました。
善き一年となりますように。
清々しい朝の詩で始めました。

皆様はどのような朝を迎えられましたか?

新年は3日より営業致します。