藤井絞の記憶6──大学は人との出逢いの中で学ぶところです──

本格的な大学受験のシーズンです。受験生たちの姿に、自分が受験生だった頃を重ねて見てしまいます。その時に大変お世話になった藤井絞の会長さんのこと(当時は社長さんでした)を思い出します。会長さんは、関西の大学に入学が決まった私のため、下宿探しから、付近の案内、時々は食事に連れて行ってくださったり、本当にいろいろとお心遣いをしてくださいました。

その中で、大学とはいかなるところかということを教えてくださいました。「これからは、語学ひとつ取っても英語だけでなく、様々な外国語を学んで、学を深めて行かれることでしょう。大学は、学問の場ですからもちろん勉強は大事です。同時に、大学とは今まで出会ったことのないいろいろな人との出逢い、関わりの中で、たくさんのことを学び、知り、視野を広め、自分という人間をつくり上げて行くところです。出逢いの中で、大いに学んでください。」

当時は、ピンときていませんでしたが、大学を卒業し数年を経た今、その言葉の意味をひしひしと感じます。人と自分を照らし合わせて、自分とはいかなる人間か、何を選択するのか、どうありたいか、そんなことばかり考えていました。書物と向き合っても、人と向き合っても、「生きる」ことや「自分」について思い巡らせる時間の連続でした。当時、何も分からない私に、大きな言葉を教えて下さった会長さんに、今さらながら感謝をする今日この頃です。