あり合わせる

先日、久しぶりに着物を着ました。育児の合間、ホンの数時間の気分転換です。この時期はいつも、東京友禅の桜の帯を締めています。着物は黒無地の大島か江戸小紋を。(写真は大島)ちょいちょい気分で着るので、「取り合わせる」というより「あり合わせる」といった感じです。この組み合わせは、春の定番で好きなメニュー。ワンパターンにならないように、帯締めと帯揚げはその日の気分で変えてみたり。合間にしか袖を通せない今は、時期の定番スタイルをさっと、です。

さくら

和の装いは、料理によく似ていて、初めはレシピ通りにきちんと材料を揃えて、計って進めるものですが、そのうちに足りないものがあっても、多少のズレがあっても調整できるようになります。自分に合った味付け、スパイスもレシピにないものを試してみたりして、自分のテイストを作りあげる。定番メニューができ、それも手元にあるもので、あり合わせでできるようになります。

きものは、たくさん持つより、数は少なくても好きなものを永く楽しむ人が増えました。着る機会がないという声も聞きますが、一方で、子供の卒園や入学など節目の機会にはきものが良い!という若いママ達の声もたくさんあります。春にはこの装い、ゆかたならばこの組み合わせと決めておいて、節目の度に袖を通せば、いつしかそれが定番メニューとなり、さらにあり合わせ気分で装える日がくるかもしれません。

好きな定番スタイルをゆっくり味わうこと、きものの本当の楽しみ方は、今の時代だからこそできるのではないでしょうか。合間にしか着られない今、感じている事です。