先週は、譽田屋源兵衛さんの展示会へ。今回のテーマは「千代に八千代に 継ぎにしもの」。譽田屋さん発祥の地、譽田八幡宮の千七百年紀を迎えて、吉祥の起源である聖数「八」をいろいろに帯で表現した会でした。末広がりを意味する「八」は、日本人にとって大きな意味を持つ数字ですね。
印象的だったのが、和歌の始まりであり出雲の国の起こりとされる「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」テーマに八雲を織り出した帯。雲は、八の字のような形でもくもくと上昇するので、更に発展するという意味です。糸の微妙な色合いと相まって、とても厳かな雲がそこにありました。お見せできないのが、残念です。
それから、蜂が八匹、織り出された帯。八角形のハチの巣も、周りにびっちりっと…。ハチ尽くしの帯でございます。白地に、蜂がとってもキュートに織り出されていて、お洒落にもセミフォーマルにも着回しのきく素敵な帯です。名古屋もありますので、興味のある方は絲穂にお出かけ下さい。イメージをお見せ致します。
次代に継ぐべききもの文化ですが、上っ面だけが先行しがちな今だからこそ、きちんと文化の底にあるものから伝えて行かなければなりませんね。日本人が継いできたものを、ゆっくりと時間をかけて。譽田屋さんに伺うと、呉服に携わる者の役割を改めて考えさせられます。
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氷見某所にて
「裏管理人」です。先月の氷見潜伏の際に、約2年ぶりくらいにあるお店に足を運びました。気取りのない、実に居心地がいい居酒屋(小料理屋)さんで、どの料理も本当に美味しいです。
まずつきだしで出た、なすと一緒にカレイ(ヒラメだったかな?)の骨せんべい(骨を揚げたもの)に甘酢をさっとかけたもの。魚のこういうアラの部分を上手に調理するところに、料理の腕が光っています。これだけで、生ビール1杯いけました。
お造りです。魚の新鮮さは言うまでもありません。上品な薄切りではなく、あえてゴロっという感じでざっくりと切って出してくれます。野趣あふれる食べ方です。
ポテトフライとチーズの包み揚げ。こういうおつまみ風の料理も実に美味しいです。どこのチェーン店の居酒屋にもありそうなメニューですが、ちゃんと手作りしてるので、味がまったく違うのがわかります。
シーザーサラダ。とびきりいいお刺し身を出す一方で、こういう洋風のメニューも充実しています。お酒があまり飲めない人でも、こういう料理がうれしいですね。
これはちょっと珍しい「なっとうのステーキ」という料理。納豆と長芋を混ぜて、軽く鉄板鍋で焼いた料理です。軽いお好み焼き風という感じでしょうか。
牛筋の煮込み。こういう時間と手間がかかる料理も、はずれることなく美味しいです。臭みが全然ないので、内臓系が苦手な人でも大丈夫です。
串カツです。揚げ物も上手です。
この他焼きそばも取ったのですが、食べたり飲んだりに夢中で、写真を撮り忘れてました。満腹でお腹が苦しくて、就寝時にうめくほど飲み食いしました。
この店やきときと舎に行くたびに、こういう店が近所にあるといいのにと、いつも思ってしまいます。残念ながら、「絲穂関西出張所」(笑)の近所には、飲食店はそれなりにあるものの、このような、どの料理を食べてもはずれがなく、しかも値段も手頃という店がありません。中途半端に都会であることの悲しさが、「出張所」の周辺にはあります。
このお店、あえて「某所」とさせていただきました。決して大きなお店ではありませんし、近所の人たちの、ちょっと近所で外食(と飲み)でも、というような気軽さを、壊さないほうがいいのではないかと思いましたので。あえてヒントを出すならば、絲穂の近所、ということでしょうか。
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今秋は、紫系が人気です
こちら、お客様がお持ちだった白生地を単衣用にと染めたものです。きれいな藤紫ですね。もちろん、お客様のお好みがそれぞれありますが、今秋は紫系が人気です。春単衣にも秋単衣にも着回しができますし、華やかさと上品さがあります。今年の秋は、紫にチャレンジされてはいかがでしょう。
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インドシルクの数寄屋袋
ちょっとお洒落な数寄屋袋、入ってます。素材はインドシルク。柔らかい風合いと、個性的ですが上品なデザインをお楽しみ下さい。右上は、柿渋のポーチ。私はデジカメケースとして使っています。使うほどに色に味が出てきますよ。
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チューリップの花びらやき
「裏管理人」です。
関西在住ですので、ふだんはもちろん絲穂にはいませんが、夏と春先の年に2回くらいは氷見に行き、いるでもなくいないでもなく、風にようにと言うか亡霊のように、絲穂の中をゆらゆらしています。あくまでも「裏」管理人なので、店内で漂っているときも、絲穂の営業と売り上げの邪魔にならないよう、いらっしゃったお客様と直接話すことはほとんどないのですが、ごくまれに仕事(呉服とはまったく関係がない裏管理人の本業)に関連してお話させていただくことがあります。
先週氷見に潜伏中に、そのような話をさせていただいた方から、「チューリップの花びらやき」というお菓子をいただきました。なんでも、砺波市内で販売されているお菓子なのだそうです。カステラ生地の中にあんこや白あんを入れて焼き上げています。残暑の中でも、熱いお茶をすすりながら食べたい、あとをひく味です。お心遣い、本当にありがとうございます。
その時の話の続きになりますが、ごくごく私的なメッセージを。
与えられるのを待つのではなく、何かを求めて自発的に動くという、受け身から能動への姿勢の変換によって、同じ環境に4年間身を置いても、結果は全く違うものになると思います。ワープロソフトと同じかもしれません。ただ単に文字を打ち込んで素っ気ない書類を作るだけという人もいるでしょう。あるいは、ワープロソフトがもっている機能をあれこれ引っ張り出し、文字の色、大きさを変え、画像を貼り付け、動画も貼り付けてみたり、音声ファイルの読み込みをしたりして、より華やかで見栄えのする「立体的な」文書ファイルを作成する人もいるでしょう。同じソフトを使っても、そのソフトがもっている可能性としての機能を引きずり出すかどうかは、使用者の心構え次第です。充実した文書ファイルを作るにはどうしたらいいのか?と考えてみると、それだけで周囲の世界が変わって見えるかもしれません。自分の視点の置き方次第で、周囲を違った世界に変えてしまうような能力を身につけることが、これから求められることなのだと思います。