「金麦ーー!!」でお馴染み、金麦ビールのCMにご注目下さい。壇れいさんがお召しの浴衣は藤井絞り製、雪花(せっか)絞りのもの。板締め絞りの一種です。難しい染め技法で手間もかかり、なかなか仕上がってきません。CMの効果もあり、今年はすごく人気があるそうです。雪花絞り、お探しの方はどうぞ氷見までお越し下さい。
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氷見の民宿─魚恵─
県外からお客様がいらっしゃった時を、よくお連れする民宿がいくつかあります。そのうちのひとつが魚恵(ぎょけい)さん。趣きのある前庭が、まず私たちを迎えてくれます。つい記念撮影をしたくなる雰囲気。漁港のほど近くなので、だいたいどのお部屋からも海が一望できます。
朝起きて、まず目に映る景色は最高の贅沢ですし、夜に感じる海の気配もまた格別です。お料理は、いかにも民宿といった派手な感じではなく、繊細で上品に氷見の良さが表現されています。
チェックアウト後は、フィッシャーマンズワーフまで歩いて遊覧船に乗ってみるのもいいでしょう。お天気の良い日は、本当に気持ちが良いですよ。カモメにエサをあげたり、楽しみながら水上を満喫できます。
もし、高岡の方まで向かわれるのであれば是非、氷見線をご利用下さい。車窓からの雨晴の海は、誰もが感動する絶景です。特にこれからの季節は晴天も味方し、見応えは抜群です。
魚恵さんについては、7月号の婦人画報(251ページ)を御覧下さい。
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『父・こんなこと』─幸田文─
明日は父の日です。みな様、どのように過ごされますか?
父=幸田文という方程式が私の中に定着したのは、『父•こんなこと』を読んだ時からでしょう。『父』という作品は、文氏が、父である幸田露伴の病床に臥す様子、死に向かう様子、そして葬儀の様子を記録し綴ったものです。看病する娘としての心の葛藤、父と娘の間で行き交う心の緊張感が随所に描かれ、父娘の在り方というもの、病や死に対する向き合い方を考えさせられます。
例えば、この一節は印象的でした。
看病は実に父とのいさかいだった。…病人に対する心持ちの粗雑さ、操作の不手際、何もかも気に入らないことだらけらしかった。不満足が皮肉になって飛んで来た、不平が慨嘆調で投げられた、じれったさが意地悪になって破裂した。早くよくなってもらいたさでいながら、目の前に浴びせられる不愉快なことば、仏頂面は反抗心をそそった。…そのことば、その調子を一緒に聞いても他人は刺戟されないのに、私はざっくり割りつけられたような痛みをうけとった。そういうことが血がつながっていることだと思っていたし、そういう悲しい宿命に堪えなくてはならない親子であった。
読み進めて行くうちに、強く感じるのは文氏の父への尊敬の念。こんな風に父親を尊敬している娘は、今の日本にどのくらいいるだろうか、、、とつい考えてしまいます。
そして続く『こんなこと』には、文氏が幼い頃から父に教わった日常のいろいろについて書かれています。掃除の仕方や、豆腐の切り方、障子の張り方、借金の挨拶などについて。テンポ良く楽しむことのできる、面白い作品です。
幸田文氏の著作には、必ずと言っていいほど自身の着物が表紙カバーに用いられています。それだけ見ても、着物の勉強になるくらい素晴らしいものばかりです。まずは表紙から入ってみるのもいいかもしれませんよ。
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夏の肌襦袢、夏の足袋
以前にあしべ織りの肌襦袢をご紹介しましたが、今回はワンピースになっているタイプをご紹介します。こちら、あしべと同じように胸や背中の方、脇の方が二重になっており、しっかりと汗を吸います。二重部分の厚みが、あしべ織りのものよりも少ないので、体格の大きな方も抵抗なく着けていただけます。
何より嬉しいのは、お尻の方まで二重になっており、薄物を着た時に透けにくくなっているところです。白っぽいお着物の出番が多いこれからの季節、大変重宝致します。肌触りも抜群です。
そして足下は、麻足袋を。薄く涼しく、何より足が疲れません。履く度に伸びますので、普段よりワンサイズ小さいものをおススメしています。
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単衣の集い:おまけ
今日は、単衣の集いおまけバージョンと致しまして、私たち親子の組み合わせをご紹介したいと思います。
母も私も塩沢紬を着ました。いつも心がけていることは、お客様より目立たないこと。控えめにしながらも印象に残るコーディネートに努めています。
母は絣模様の塩沢に平良敏子作、芭蕉布の帯を。帯留めはトラ目水晶です。 シックなイメージで涼感を表現しました。
私は母とは正反対の雰囲気の白っぽい塩沢で臨みました。帯は相楽刺繍、絽です。どちらも祖母の私物で、このコーディネートをよく楽しんでいました。ずいぶん時が経った今、孫の私がそっくりそのまま纏ってもまったく違和感がないので、大好きな装いです。6月の半ばからは着物は単衣のまま、帯は夏物に変えて行くとうまく夏を迎えることができます。そろそろ、半襟も絽に変えて行きましょう。
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単衣の集い2
さて本日は、単衣の集いでの装いを明らかに致しましょう!
まず一組目のお客様から。 右、お母様は新緑をイメージさせる美しい小紋に、白っぽい織りの帯を。 左、お嬢様は、藤井絞り製、竜巻絞りの小紋に今井廉作の花守の帯をコーディネート。 おふたりとも、小紋をモダンに着こなしていらっしゃいます。
前はこのようになります。それぞれの帯の質感や面白さ、お分かりいただけますでしょうか。カゴのバッグも見事にマッチしています!お母様のシンプルな帯留め使いにも注目です。 お母様は、お嬢様が誕生なさった時に着付けの資格を取られて(なんと1級です!)以来、ずっと着付けから離れていらっしゃいましたが、この日は、お嬢様に着せつけをなさいました。本当に久しぶりと仰っていましたが、ブランクをまったく感じさせない自然体の着姿ですね。その様子を拝見しながら、母と娘の間には他の誰もが介在できない深い絆や想いが確かにあるのだと感じさせられました。
いま一組は、おふたりとも訪問着の装いです。
右、お母様のお着物はよく目を凝らすとボカシがある訪問着。素材感と言い色と言い、大変きれいなお着物です。帯は、涼感漂う単衣向きのもの。たれにある柄がポイントです。
左、お嬢様の装いは、着物も帯も染めの百趣矢野の逸品。控えめで上品な着物に、帯の蝶柄がインパクトを与えています。
前姿はこのようになります。お母様、さんごの帯留めが効いていますね。鮮やかなピンク色が全体のコーディネートを引き締めます。お嬢様も、市松模様の帯締めですっきりと。バッグの赤が印象的です。 お嬢様は富山に嫁がれましたが、この日は久しぶりに氷見に戻られご参加下さいました。いつも、とても仲の良い母娘さんでいらっしゃいます。
こうして、着物を介してまたひとつ親子の思い出が増えるって素敵ですね。
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単衣の集い1
さて、ここに現れました和服姿の美女集団、その正体とや。。。
昨日6月14日、いつもご贔屓にしていただいているお客様と着物でお食事会をしました。私たち親子を含め、親子三組の小さなお食事会。氷見の高級旅館、稲六にて。絲穂から徒歩5分ほどのところにありますので、着物でのそぞろ歩きにぴったりのロケーションです。お料理の味が抜群なのはもちろんのこと、館そのもの、通されるお部屋そのもの、お道具そのものに大変な価値があり、大切な日本文化が凝縮された旅館です。
この日は特別に、ご主人からお部屋に掛けて下さったお軸の説明を伺うことができました。江戸時代、狩野派のものだそうですが、お軸のことだけでなく当時の文化や歴史をふまえて詳しく楽しくお話ししてくださったので、とても勉強になりました。
写真は旅館へ向かうお客様親子の後ろ姿、それぞれの個性が光ります。それにしても和服姿とは、大変華やかなものですね。少人数だと、なおそう思います。私は常々、和服姿にはそれに伴う背景や風景という余白が必要だと思っています。よく、ぞろぞろ歩く着物の大集団を見かけますが、華やかというより、どこに焦点を置いていいのか分からないという印象を受けます。今回の集いのように少人数であれば、それぞれの魅力がきちんと発揮されますね。あまり大人数でないことも、着物を活かす大切な要素です。
さてさて、詳しいコーディネートの全貌は、明日のブログで。ご期待下さい。