• 続:藍は愛

    愛すべき正藍染めの着尺に、いくつか帯を合わせてみました。

    大胆な花柄には、献上博多帯を合わせて爽やかなイメージに。(献上博多については5月12日と13日のブログへ)

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    深い藍の着尺には、あえてシックな半幅帯を合わせてみてはいかがでしょう。この帯、黒でなく濃紺です。お洒落でしょ?!

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    幾何学模様の面白い名古屋帯を組み合わせました。同じ着物も帯を変えて楽しんで下さい。藍の数だけ愛し方があります。

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  • 藍は愛

    藍色が心地よい季節です。私たちが藍色になぜか惹かれてしまうその理由は、まさに愛と言えましょう。藍色ができあがるまでには(藍が建つまで)、作業に携わる人の深い深い愛が不可欠なのです。以前に、藍建ての工程について書いたものがありますので、興味のある方は参考になさって下さい(PDFファイルになります)。

    藍建て

    こちらが、正藍染めの浴衣です。ひと口に藍染めと言っても、一反ずつ藍の濃さが異なり、また柄行きで雰囲気がガラリと異なります。共通しているのは、きっぱりとした美しさ。見ているだけで、心がすっきりしてきます。生地はすべて絹紅梅(絹と綿が半々で織られたもの)。浴衣というよりも、是非夏の着物としてお召しいただきたいですね。 さて明日は、こちらの着尺に帯を合わせてみましょう。

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  • もうすぐ祇園祭

    来月、京都は祇園祭で華やぎます。 その頃に展示会をされる藤井絞りさんでは、世にも贅沢な経験をさせていただけます。都を彩る鉾は、移動する貴重な美術品。それを本当に間近で拝見することができます。

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    その町内の鉾の綱を引くチャンスにも恵まれます。去年、友人と参加させていただいた時の様子です。肝心の綱は写っていませんが、しっかりと握りしめております!!町内のみなさん、観光客のみなさん、とにかく総出で綱を握り、鉾をひっぱります。何でもこの綱には厄よけのご利益があるそうですよ。本当にご縁がないと巡り会えないチャンスです。

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    十数年ぶりに祇園祭にお邪魔し、あらためて京都という土地の魅力を実感しました。点在する鉾を眺めながら、そぞろ歩くと何とも言えない高揚感や荘厳さに酔ってしまいます。まさに「文化」を体感する感覚です。そして、藤井絞りさんに通していただくと、そちらでしかお目にかかれない素晴しいお道具の数々に出会うことができます。贅沢に敷き詰められた鍋島段通、上坂雪華の屏風、まさにプライベート美術館。

    さて、今年はご縁がありますでしょうか。


  • 雪花絞りの浴衣

    「金麦ーー!!」でお馴染み、金麦ビールのCMにご注目下さい。壇れいさんがお召しの浴衣は藤井絞り製、雪花(せっか)絞りのもの。板締め絞りの一種です。難しい染め技法で手間もかかり、なかなか仕上がってきません。CMの効果もあり、今年はすごく人気があるそうです。雪花絞り、お探しの方はどうぞ氷見までお越し下さい。

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    サントリー金麦


  • 氷見の民宿─魚恵─

    県外からお客様がいらっしゃった時を、よくお連れする民宿がいくつかあります。そのうちのひとつが魚恵(ぎょけい)さん。趣きのある前庭が、まず私たちを迎えてくれます。つい記念撮影をしたくなる雰囲気。漁港のほど近くなので、だいたいどのお部屋からも海が一望できます。

    朝起きて、まず目に映る景色は最高の贅沢ですし、夜に感じる海の気配もまた格別です。お料理は、いかにも民宿といった派手な感じではなく、繊細で上品に氷見の良さが表現されています。

    チェックアウト後は、フィッシャーマンズワーフまで歩いて遊覧船に乗ってみるのもいいでしょう。お天気の良い日は、本当に気持ちが良いですよ。カモメにエサをあげたり、楽しみながら水上を満喫できます。

    もし、高岡の方まで向かわれるのであれば是非、氷見線をご利用下さい。車窓からの雨晴の海は、誰もが感動する絶景です。特にこれからの季節は晴天も味方し、見応えは抜群です。

    魚恵さんについては、7月号の婦人画報(251ページ)を御覧下さい。

    民宿・磯料理 魚恵


  • 『父・こんなこと』─幸田文─

    明日は父の日です。みな様、どのように過ごされますか?

    父=幸田文という方程式が私の中に定着したのは、『父•こんなこと』を読んだ時からでしょう。『父』という作品は、文氏が、父である幸田露伴の病床に臥す様子、死に向かう様子、そして葬儀の様子を記録し綴ったものです。看病する娘としての心の葛藤、父と娘の間で行き交う心の緊張感が随所に描かれ、父娘の在り方というもの、病や死に対する向き合い方を考えさせられます。

    例えば、この一節は印象的でした。

    看病は実に父とのいさかいだった。…病人に対する心持ちの粗雑さ、操作の不手際、何もかも気に入らないことだらけらしかった。不満足が皮肉になって飛んで来た、不平が慨嘆調で投げられた、じれったさが意地悪になって破裂した。早くよくなってもらいたさでいながら、目の前に浴びせられる不愉快なことば、仏頂面は反抗心をそそった。…そのことば、その調子を一緒に聞いても他人は刺戟されないのに、私はざっくり割りつけられたような痛みをうけとった。そういうことが血がつながっていることだと思っていたし、そういう悲しい宿命に堪えなくてはならない親子であった。

    読み進めて行くうちに、強く感じるのは文氏の父への尊敬の念。こんな風に父親を尊敬している娘は、今の日本にどのくらいいるだろうか、、、とつい考えてしまいます。

    そして続く『こんなこと』には、文氏が幼い頃から父に教わった日常のいろいろについて書かれています。掃除の仕方や、豆腐の切り方、障子の張り方、借金の挨拶などについて。テンポ良く楽しむことのできる、面白い作品です。

    幸田文氏の著作には、必ずと言っていいほど自身の着物が表紙カバーに用いられています。それだけ見ても、着物の勉強になるくらい素晴らしいものばかりです。まずは表紙から入ってみるのもいいかもしれませんよ。


  • 夏の肌襦袢、夏の足袋

    以前にあしべ織りの肌襦袢をご紹介しましたが、今回はワンピースになっているタイプをご紹介します。こちら、あしべと同じように胸や背中の方、脇の方が二重になっており、しっかりと汗を吸います。二重部分の厚みが、あしべ織りのものよりも少ないので、体格の大きな方も抵抗なく着けていただけます。

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    何より嬉しいのは、お尻の方まで二重になっており、薄物を着た時に透けにくくなっているところです。白っぽいお着物の出番が多いこれからの季節、大変重宝致します。肌触りも抜群です。

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    そして足下は、麻足袋を。薄く涼しく、何より足が疲れません。履く度に伸びますので、普段よりワンサイズ小さいものをおススメしています。

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