滴々のひとときー小川流煎茶ー

昨日はお客様からお誘いをいただき、京都小川流のお煎茶のお茶会に行って参りました。金沢21世紀美術館のお茶室にて、それはとても充実したひとときでした。次期お家元が亭主をつとめて下さり、小川流独特のやり方に始まり、色々と心に残るお話しを伺えました。小川流のお煎茶は、湯呑みの底にただ数滴のお茶があるのみで、それはそもそもお茶とは喉越しを愉しむのではなく、口中を潤わせるものであるからだそうです。初めて頂いた滴々のお茶は、大変美味しく非常に贅沢な味わいでした。二煎目も同じく数滴ですが、インパクトのある一煎目に比べ、少し柔らかい味わいでした。同じお茶でも時間の経過で変化することも魅力です。

最も印象的だったお話は、「喫する」ということについてです。「喫」とはお茶などが喉を通るという意味ですが、さらに深めて滋養する、栄養を得ると捉えていらっしゃるとのことでした。確かに、お茶を頂いた時に思わず「美味しい!」と発してしまう美味しさは、数滴であるがゆえに口中から五感全体を刺激する栄養素のようです。喫茶をしている我々も、この「美味しい!」を、更には「美しい!」をお客様に発していただけるよう、満足した心でお過ごしいただけるよう、日々努力しなければと改めて感じました。