艶やかな金魚ちゃん、タペストリーでもお楽しみ下さい。
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能登上布の着尺
上布(じょうふ)とは麻の織物のこと。江戸の頃には「上等な布」を意味し、武家女性に好まれました。越後上布、能登上布、近江上布、宮古上布などがあり、糸を染める染料や柄行きにはその土地によって違いはありますが、どれも苧朝(ちょま)と呼ばれる細い細い麻から作られます。一本の苧麻を爪でさらに細かく裂き、それらを撚り合わせて一反分の糸に仕上げます。それゆえ、上布の魅力は軽く涼しいこと。
能登上布の特徴は写真のような、細かい亀甲柄。本当に上等な布です。今では、能登上布の織り手はただひとりになってしまいました。大変価値のある一反です。
帯は、砂川美恵子作、宮古上布の無地。着物も帯も上布の取り合わせ、最高の贅沢です。
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天の川のような…
7月4日土曜日、友人の結婚披露パーティーに行ってきました。袖を通したのは、絽の訪問着。星をちりばめたような模様なので、勝手に天の川というタイトルをつけて楽しんでいます。7月のイベントには、大活躍する着物です。帯は羅。うろこの柄です。天の川と魔除けのうろこで、お祝いのメッセージを込めてみました。かんざしは、珊瑚。小振りですが、存在感があるのでとても気に入っています。
夏のパーティーには、ビーズのバッグがひとつあると重宝します。ドレスに合わせても綺麗ですからね。
パーティーは、神戸ポートピアホテルの30階にあります、スカイラウンジにて。眺めの素晴らしいのはもちろんのこと、落ち着いた雰囲気でとても素敵なラウンジです。この日は、梅雨の晴れ間で、一日中良いお天気でした。ひと足早い七夕をお祝いできました。
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『青眉抄』─上村松園─
世に美人画は星の数ほどありますが、私は上村松園の描く女性が一番好きです。女性らしい柔らかな雰囲気の中に、きりりとした品格があり惹かれます。美女たちが着ている着物の美しさにもまた、松園ならではの色遣いがあります。袖のふりから見える重ねの色にハッとさせられますし、着こなし、仕草、和服と女性を際立たせる背景、いろいろ真似したいことばかり。
松園が、自身の生い立ちや母の影響について書いた『青眉抄』という著作があります。女性の青く美しい眉は母親の面影だそうで、凛とした女性像の秘密も明らかになります。作品もたくさん掲載された、美しい一冊です。
さて、高岡市美術館では7月20日まで、文化勲章38人が描く「日本の心」という企画展が催されています。その中に、松園の作品もあります。皆さま是非、足をお運び下さいませ。青い眉に注目です。
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藍は愛
藍色が心地よい季節です。私たちが藍色になぜか惹かれてしまうその理由は、まさに愛と言えましょう。藍色ができあがるまでには(藍が建つまで)、作業に携わる人の深い深い愛が不可欠なのです。以前に、藍建ての工程について書いたものがありますので、興味のある方は参考になさって下さい(PDFファイルになります)。
こちらが、正藍染めの浴衣です。ひと口に藍染めと言っても、一反ずつ藍の濃さが異なり、また柄行きで雰囲気がガラリと異なります。共通しているのは、きっぱりとした美しさ。見ているだけで、心がすっきりしてきます。生地はすべて絹紅梅(絹と綿が半々で織られたもの)。浴衣というよりも、是非夏の着物としてお召しいただきたいですね。 さて明日は、こちらの着尺に帯を合わせてみましょう。