• 絹芭蕉の訪問着

    夏の代表的な織物、絹芭蕉。紬でも麻でもない独特の風合いがあります。適度にハリがあり、風をよく通します。水をイメージさせる涼やかな模様は、ロウケツ染めで表現されています。夏に着る藍や紫など濃い色の着物は、とても美しいものです。白の長襦袢に重ねた時の色の対比は、本当に美しい。視覚で涼を感じるのは、日本人特有の感性でしょう。

    帯は、昨日のブログでご紹介したものと同じ。砂川美恵子作、宮古上布の無地。合わせる着物の色、ライトや光線の加減が変わると、同じ帯でも違う雰囲気になります。それが、草木染めの特徴。ひと言で「なにいろ」と言い切れない奥深さがいいですね。

    kinubasho.jpg


  • 能登上布の着尺

    上布(じょうふ)とは麻の織物のこと。江戸の頃には「上等な布」を意味し、武家女性に好まれました。越後上布、能登上布、近江上布、宮古上布などがあり、糸を染める染料や柄行きにはその土地によって違いはありますが、どれも苧朝(ちょま)と呼ばれる細い細い麻から作られます。一本の苧麻を爪でさらに細かく裂き、それらを撚り合わせて一反分の糸に仕上げます。それゆえ、上布の魅力は軽く涼しいこと。

    能登上布の特徴は写真のような、細かい亀甲柄。本当に上等な布です。今では、能登上布の織り手はただひとりになってしまいました。大変価値のある一反です。

    帯は、砂川美恵子作、宮古上布の無地。着物も帯も上布の取り合わせ、最高の贅沢です。

    notojoufu.jpg


  • 天の川のような…

    7月4日土曜日、友人の結婚披露パーティーに行ってきました。袖を通したのは、絽の訪問着。星をちりばめたような模様なので、勝手に天の川というタイトルをつけて楽しんでいます。7月のイベントには、大活躍する着物です。帯は羅。うろこの柄です。天の川と魔除けのうろこで、お祝いのメッセージを込めてみました。かんざしは、珊瑚。小振りですが、存在感があるのでとても気に入っています。

    back.jpg

    夏のパーティーには、ビーズのバッグがひとつあると重宝します。ドレスに合わせても綺麗ですからね。

    front.jpg

    パーティーは、神戸ポートピアホテルの30階にあります、スカイラウンジにて。眺めの素晴らしいのはもちろんのこと、落ち着いた雰囲気でとても素敵なラウンジです。この日は、梅雨の晴れ間で、一日中良いお天気でした。ひと足早い七夕をお祝いできました。

    thirtieth_floor.jpg


  • 『青眉抄』─上村松園─

    世に美人画は星の数ほどありますが、私は上村松園の描く女性が一番好きです。女性らしい柔らかな雰囲気の中に、きりりとした品格があり惹かれます。美女たちが着ている着物の美しさにもまた、松園ならではの色遣いがあります。袖のふりから見える重ねの色にハッとさせられますし、着こなし、仕草、和服と女性を際立たせる背景、いろいろ真似したいことばかり。

    松園が、自身の生い立ちや母の影響について書いた『青眉抄』という著作があります。女性の青く美しい眉は母親の面影だそうで、凛とした女性像の秘密も明らかになります。作品もたくさん掲載された、美しい一冊です。

    さて、高岡市美術館では7月20日まで、文化勲章38人が描く「日本の心」という企画展が催されています。その中に、松園の作品もあります。皆さま是非、足をお運び下さいませ。青い眉に注目です。

    高岡市美術館 企画展示


  • 盛夏の「せいそう」

    夏の特別ないち日は、着物で過ごしてみませんか?盛夏の「せいそう」を提案します。

    こちら、糸菊が描かれた夏結城の訪問着。同じ着物で正装と盛装を。 帯、帯揚げ、帯締めの変化を楽しんで下さい。

    seisou1.jpg

    <正装>:菱文様の袋帯を合わせて正装に。白の帯揚げ、帯締めで全体をすっきり清楚なイメージに。 友人知人の披露宴などでは、控えながら華を添える装いになります。

    seisou2.jpg

    <盛装>:絽の染め名古屋帯を合わせて盛装に。 帯締めには、少しインパクトのある色をもってきましょう。 バーティーや同窓会には、メリハリのある着こなしでドレスアップを。

    seisou3.jpg


  • 続:藍は愛

    愛すべき正藍染めの着尺に、いくつか帯を合わせてみました。

    大胆な花柄には、献上博多帯を合わせて爽やかなイメージに。(献上博多については5月12日と13日のブログへ)

    ai4.jpg

    深い藍の着尺には、あえてシックな半幅帯を合わせてみてはいかがでしょう。この帯、黒でなく濃紺です。お洒落でしょ?!

    ai5.jpg

    幾何学模様の面白い名古屋帯を組み合わせました。同じ着物も帯を変えて楽しんで下さい。藍の数だけ愛し方があります。

    ai6.jpg



  • 藍は愛

    藍色が心地よい季節です。私たちが藍色になぜか惹かれてしまうその理由は、まさに愛と言えましょう。藍色ができあがるまでには(藍が建つまで)、作業に携わる人の深い深い愛が不可欠なのです。以前に、藍建ての工程について書いたものがありますので、興味のある方は参考になさって下さい(PDFファイルになります)。

    藍建て

    こちらが、正藍染めの浴衣です。ひと口に藍染めと言っても、一反ずつ藍の濃さが異なり、また柄行きで雰囲気がガラリと異なります。共通しているのは、きっぱりとした美しさ。見ているだけで、心がすっきりしてきます。生地はすべて絹紅梅(絹と綿が半々で織られたもの)。浴衣というよりも、是非夏の着物としてお召しいただきたいですね。 さて明日は、こちらの着尺に帯を合わせてみましょう。

    ai1.jpg

    ai2.jpg

    ai3.jpg