先日の在庫整理の結果、発掘されました。 夏用の袴地二反。 たいへん上質な絹でございますが、お安く提供致します。 お値段は要相談。 ご入用の方は、0766-74-6218までご連絡下さいませ。
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土曜にお越しのお客様
土曜日にお越しになったお客様、結婚式からのお帰りとのこと。 から絞りの訪問着に、唐織りの袋帯の組み合わせ。豪華さと上品さを兼ね備えた、まさに大人の女性の着こなしです。 帯は大変シンプルですが、着物に負けない迫力があります。
こちら、最大の注目ポイント。袖のふりからチラリと見える襦袢のうろこ模様。 襦袢の挿し色と帯、帯締めとの色合い。 このアングルが美しいと、きもの姿として完璧でしょう。 こんな細部にまで気を配ることができれば、最高ですね。
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学園花通り
下の記事にある、「関西学院大学へと続く桜並木」である、「学園花通り」の昨日の時点での桜のようすです。関西学院の正門側から撮っているので、キャンパスは写っていませんが、桜の咲き具合がわかっていただけるでしょうか。
今日は入学式。この桜並木が、希望で胸をふくらませた新入生たちであふれかえる日です。
(裏管理人撮影)
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神は細部に宿る
入学シーズンです。桜の季節でもあります。皆さまの心に残っている桜の風景、始まりの風景とはどのようなものですか。
私にとって桜とは、母校、関西学院大学へと続く桜並木です。そこで出会った恩師に教えられた「神は細部に宿る」という言葉を、桜の頃になると毎年心で唱え直します。
「神は細部に宿る」とは、レポートや論文のテーマを決める時のアドバイスとして教えられたものです。面白いテーマを決定するためには、大きな部分を見るのではなく、例えば文章の中で繰り返し使われている言葉や表現などの、小さい部分、細部をまずよく見てみなさい。そこから、大きく面白いテーマを導きだすヒント(神のようなもの)が立ち上ってくるはずだと。初めて教えられた日から、この言葉は私にとっての指針となりました。何かを決めたい時、迷った時、自分を信じたい時、いつも立ち戻るのはこの言葉。 大学では英文学を専攻、現在はきものに携わっている身ですが、まったく異なる世界のように見える文学ときもの、これほどまでに似た世界はないといつも思います。
きものは、まさに細部の世界。一反の布には、染色というレベル、柄のレベル、技法のレベル、糸のレベルなど、様々な細部のレベルがあります。それぞれの細部が意味を持ち、文化的背景を持つ。それぞれの細部に宿る職人さんの技術は、まさに神業。細部が集まったきもの一反は、大きなテーマと言えましょう。
文学作品は紙に文字が書かれたもの、きものは布に模様や色と言った記号が描かれたもの。読み解く対象が紙から布に変わっただけで、取り組み方は学生時代とまったく同じ。いつも心には「神は細部に宿る」という言葉。桜の頃になれば、これからもずっと唱え直される色褪せない言葉です。 自分にしか見えない小さいものを探し、継続し、大きな結果が出るまでじっと待ってみる。つい自分と誰かを較べそうになった時に、支えてくれる言葉です。
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続:男の人ときもの
学生落語に時々ハマる私ですが、今は亡き名人のDVDにハマることもしばしば。五代目古今亭志ん朝さんは、素敵ですねぇ。噺についてはもちろん名人ですから、落語素人の私からはコメントするまでもありません。
目下の楽しみは、高座ごとに違う着物です。志ん朝さんは、まさに粋。江戸小紋のような細かい縦縞で鼠系のお着物をよくお召しでした。それ以外ですと、全く無地のもの。粋でいらっしゃるのですが、品と色香があり、いざ座布団に座された時には、特有の佇まいがあり、この人は絶対に面白い噺を聴かせてくれるに違いないと確信します。 噺の最中に、襟の方が少々着崩れても美しい。何より好きなのは、ソデから座布団まで歩いていらっしゃる、所作。男の着物姿とはこうあるべきだー!といつもホレボレ。 噺とは、座って噺をするだけが噺ではなく、その前後ぜんぶひっくるめて噺なんですね。
噺家というのは、噺をするから噺家なんじゃなくて、噺てない時にこそその真価が問われるのでしょう。 とにかく私は和服姿の志ん朝師匠に見とれているだけですので、落語についてはどなたか語って下さい(笑)個人的には、「搗屋幸兵衛」が好きです。
“落語研究会 古今亭志ん朝 全集 下 [DVD]” (Sony Music Direct(Japan)Inc.(SME)(D))
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男の人ときもの
先日在庫の整理をしていたところ、男物の紋付と袴の生地がたくさん出てきました。昔は、結婚という節目にきっちりと男性のきものも一揃え誂えたものなのですね。自宅の箪笥の中でも父のきものに遭遇することがあるのですが、男性が身に着けるものには女性をハッとさせる雰囲気があります。きっぱりと、美しい。女性の晴れ着とはひと味違いますね。民族衣裳には、男らしさ女らしさというものがきちんと反映されていることを痛感します。
一昨年でしたか、歌舞伎役者の市川団十郎、海老蔵さん親子がパリオペラ座で公演されたときのこと。その特集をしていた雑誌の中に、衝撃的な写真が一枚ありました。黒紋付に袴姿の役者たちが、黄金の間でパリの紳士たちと並んでいるもの。高い高い天井のゴールドで統一された広間に、紋付と袴が見事にマッチし溶込んでいました。本当に美しかった。紋付袴の日本人と、タキシード姿の紳士たち。異なった文化を持つ人々が、何の違和感もなくそこにいました。 紋付に袴という究極にシンプルな装いは、異国のきらびやかな文化に匹敵するほどの、時にはそれを凌ぐほどの力を発揮するのでしょう。
日本の衣裳は美しい。男性が纏うと、なお。
“市川團十郎・市川海老蔵 パリ・オペラ座公演 勧進帳・紅葉狩(DVD付) (小学館DVD BOOK―シリーズ歌舞伎)” (小学館)