• カテゴリー別アーカイブ あれこれ
  • 「ありがとう」の力

    この頃、商売以外のことで、尋ねられたり 頼まれたりすることが増えました。

    例えば、和倉温泉に行きたいんだけど、どこが見所が教えて欲しい。宝塚を観たいんですけど、良い席取ってもらえませんか。などなど。自力でできないことも多いので、私自身もどなたかのお力をお借りするのですが、結果としてご依頼下さった方に喜んでいただけると本当に嬉しいです。

    「ありがとう。楽しい時間を過ごせました。」この言葉を聞くと、素直に嬉しいですね。私もまた、力を貸して下さった方に「ありがとう」を伝えます。「ありがとう」の連鎖「ありがとう」の輪。「ありがとう」という言葉ひとつで、こんなにも幸せな気持ちになれるんだということを、改めて感じている今日この頃。どのような形であれ、誰かの役に立てることの嬉しさを実感します。

    亡き祖母がいつもいつも言っていました。商売するなら、売ることを先に考えてはいけないと。まずは、人に喜んでもらえることをしなさい、商売と関係ないことでも人の役に立ちなさい。それができなければ、ものを売ることはできないと。

    ようやく私も少しはまともは人間になってきたのでしょうか。ともかくも、たくさんの「ありがとう」と、たくさんの笑顔が絶えないように、頼まれやすい人を目指したいものです。


  • 湯気の向こう側──炉開きによせて──

    今月は炉開きです。気温が下がり寒くなってくると、釜から上がる湯気が何ともあたたかく、一服が大変おいしく感じる季節です。

    さて、この時期になると思い出すのが、友人に連れられ初めてお稽古場を訪れた日のこと。玄関を入ると、どうやら先生の機嫌がよろしくないようで、 何やら大きな叱り声のようなものが聞こえます。とても厳しい先生だと聞かされ、ただでさえ緊張していた私に追い打ちをかけるようなこの声。茶室の前まで進 むと、釜から上がる湯気の向こうにはズラリと居並ぶお弟子さんたちの神妙な顔、顔、顔。。。ああ、私はこれからこの中に入って、どうなるんだろう。。。緊張と不安と恐怖で(笑)いっぱいでした。

    先生は確かにとても厳しい方でしたから、たくさん叱られました。お稽古を始めて数ヶ月は、お茶室に入ることさえ恐ろしくいつも、ビクビクしてい ました。けれど、やめたいと思ったことがなかったのは、親さえ本気で叱ってくれない年になって、本気で叱ってくれる先生にとても感謝したからです。叱って くれる人は、褒めることも同時にとても上手であることも学びました。ある、たったひとつの動作ができなくて絞られに絞られた後は、必ず「ほら、できたやな いの。それを覚えとき。よう頑張った。」の声がかかります。満面の笑顔で。その笑顔に救われ、叱られ、また救われることの繰り返し。人を叱ることはなんと 大変なんだろうと思いました。よくぞ、何もできない私を叱り、褒め、ながめて下さったと今でも感謝の気持ちでいっぱいです。この頃は、本気で叱ってくれる 人も、この人になら叱られても付いて行きたいと思う人も、少なくなりましたね。寂しいです。

    炉開きの頃、釜の湯気を見るといつも思い出します。先生の叱り声と、笑顔と。それから、先生のご機嫌次第で張りつめたり、笑い声に包まれたりし たお茶室の空気を。初めての日、神妙に見えたお弟子さんたちは、みなさんとても良い人たちでした。喧嘩は両成敗、順番を決める時はくじ引き、早く来た者に 福あり。一番にお稽古に行くと、必ず何かためになるお話しを聞かせて下さいました。早く来た者の特権や、と仰って。ここぞという時は年功序列がありました が、普段はその調子でみな平等。あらそいごとは起きようがありませんでした。


  • 絲穂の楽しみ方11ーBGMー

    店内に流れるのは、いつもクラシック音楽です。日によっていろいろ変わります。好きなのをリクエストするのも一案ですね。近頃は、バイオリンの音色が多いです。

    大きなスピーカーが一対あります。スピーカー好きの方には、興味深いもののようです。

    目も耳も、五感をフル活用して楽しんでください。


  • 型染作家 松原秀子氏の講演

    11月1日日曜日、関西学院会館にて、型染作家 松原秀子さんの講演会が行われました。「型染の魅力についてー実演とともにー」というタイトル通り、実際に型染版画を作る様子を見せていただける貴重なひととき。型染の着物や帯をいろいろ思い出しながら、渋紙の下絵を彫る作業に、糊置き、彩色、水洗と、簡単にですが一通りのプロセスを拝見していると、今までボンヤリと感じていた型染の良さをようやくきちんと理解できたような気がしました。

    松原さんは、装画や蔵書票の型染作家さんです。作品の中でもわらべの図案が印象的なのですが、ご自身、彩色の時にはわらべのホッペを一番に色付けすることでテンションを高めて行かれるそうです。スカーレットという色で染められるホッペは、仕上がるとなんとも可愛らしいピンク色となり、わらべの愛くるしい表情を作り出します。作家さんによって始まりの色は様々だそうで、それが型染の魅力のひとつとのこと。型彫りの時には、下絵通りに彫るよりも、気分次第に刀を進めることが大事なのだそうです。型にハマらない型紙作り、輪郭の中にいかに個性を表現するか、それもひとつの魅力とのことです。

    さて、ただ今関西学院大学博物館(時計台)にて蔵書票の展示展が行われております(12月18日まで)。蔵書票とは、自分の蔵書であることを示すために本の見返しに貼り付ける紙片のこと。愛書家たちが自分の名前とともに好みの図柄を版画家に注文して作らせることが多く、次第に実用から離れ小さな版画作品として鑑賞、収集されるようになりました。いろいろに個性あふれる数々の蔵書票、関西学院でお楽しみいただけます。竹久夢二、棟方志功の作品もあります。芹沢銈介の蔵書票も。もちろん、松原秀子先生の作品も。私は個人的に銅版の「夜の銀座、春の雪」という蔵書票が好きでした。

    是非みな様も、お気に入りの一枚を見つけてください。型染の魅力、たっぷりです。

    20091102


  • 絲穂の楽しみ方9

    下の写真の左上にご注目下さいませ。ステンドの光がつくり出す影なのか、とても面白い形の影がありますね。光細工のような影、ちょっときれいで、つい撮影してしまいました。

    ほかにも、いろいろ面白い影があるかもしれません。ご来店の際には是非、探してみて下さい。

    絲穂の楽しみ方8は9月16日のブログを。

    20091026


  • 初ブリ

    今週のとある日、氷見で今年初めてのブリが穫れたそうな。たったの一本。その一本が、とあるお店にやってきたとな。奇しくもその日は、うちの社長のバース デー。そのお店をお祝いの席にと予約していたから驚き。日頃の行いが良いからなのか、神の気まぐれか、いくつかの偶然が重なり、初ブリは我々の口におさまってしまったのあります。

    という訳で、そろそろブリシーズン到来のようです。皆さま、お宿のご予約はお早めにどうぞ。