貝紫のはなし

先の秋のおどりの会場にて。母が着ておりましたこちらの紬、貝紫で染められた糸で織られたものです。貝の内蔵にある特殊なパープル腺という部分を使い染めます。このパープル腺、取り出して太陽に当てると紫に変化します。

染色技術は、紀元前600年頃の地中海沿岸に遡ります。一グラムの色素を得る為に二千個もの貝を必要とした希少性から、ロイヤル・パープル、帝王紫と呼ばれギリシャ・ローマ帝国では、皇帝や貴族にしか使用が許されなかった色なのだそうです。他にも、貝紫の歴史やエピソードについては、興味深いもの があるので是非、吉岡幸雄著『日本の色辞典』を御覧下さい。

母の着物はその昔、著者である吉岡先生のお父様に染めていただいたものです。現代の日本に生まれてよかったですね。古代のローマじゃ、着せてもらえなかったでしょうから。。。!

20091020