映画「悪人」

皆さま、今年は、何か映画を観られましたか?印象に残ったものはありましたでしょうか?先日、新聞で面白い記事を読みました。昨今、映画は表現物というより消費物としての側面が強くなったというのです。例えば、今年大ヒットを飛ばした「海猿」や「踊る大捜査線」他には「HERO」「ルーキーズ」など、テレビドラマの続編が映画化され、ヒット作になるケースが大変目立っている。けれども、それらは必ずしも優れた映画とは言えないというのです。芸術性の高い作品よりも、いかに売れるかということに焦点が当てられているということですね。かつては、映画評論家の意見が大きな影響力を持っていたのに対し、近頃はブログやツイッターで一個人も自由に意見を発信できるようになり、いわゆる権威というものが揺らいでいるのだそうです。専門家も、「何が本当にいい映画なのかよく分からない」というのが現状。確かに、このごろは新作映画となると、あらゆるメディアで過剰なまでの宣伝が流れ、何を観ていいのか分からなくなることがあります。

今年唯一、映画館で観た作品が「悪人」でした。きっかけはなんとなくだったのですが、これは観て良かったと本当に思いました。リアリティがあって、良い映画です。人間の脆さや、弱さ、優しさ、そして日常のささいな偶然が重なって生まれてしまった罪に、考えさせられることがたくさんありました。主演の深津絵里さん、妻夫木聡さんの演技が素晴らしかったのも印象的です。特に、妻夫木さんってこんなに実力のある俳優さんなんだと初めて知りました。昨今話題の3Dやアクションの多いド迫力の映画とは、まったく違う種類のパンチが心に効きます。

さて、映画はいつもどなたとご一緒されますか?私は、基本ひとりです。ひとりで観る作品を決めて、ひとりで泣いて笑って、「ひとり」を満喫しています。たまには、誰の意見にも左右されないひとり時間も良いものです。