けむりの行方

毎朝の習慣として、お香をたいています。何十年、ずっと同じ香りです。京都 松栄堂の芳輪、堀川。毎日のことですが、毎日けむりの形、流れ、勢いが違います。けむりの姿は、見ていて飽きません。とても美しいかな文字を見ているかのように流れます。まるで今日の運勢でも書いてあるかのごとく。読めそうで読めないもどかしさがあります。フッと消えてなくなる時の、はかないさも美しい。

長月が始まりました。過ごしやすくなり、五感も冴えてくる季節です。忙しい朝のひととき、ほんの一瞬、けむりの行方を見届けてはいかがでしょう。