音の力

今日は海浜植物園にて、花と緑のフェスタが行われ、息子の所属する合唱団がオープニングを飾りました。いつも思います。言葉を音に乗せると、どうしてこんなに心に響くのかと。冒頭で指揮の先生が「人には想像力という特別な力があります。今日は歌を通して、皆様を野や山や素晴らしい自然の世界にお連れします」と。聴きながら想像力について少し考えてみました。

読書の時のように、言葉だけを目で追っている時の想像力と、歌を通しての想像力はその広がり方が違います。歌には音の響きがあり、歌う人の様子があるので、聴覚と視覚から、或いはその時その場所の空気感からも想像力が広がります。だからでしょうか。ス〜ッと、時にはグワ〜っと心に入ってくるのは。今日の場合は、子供の歌声であるということも大きな要素かもしれません。きっと大人の声と子供の声、プロの声とそうでない人の声でも心への作用は変わります。

先日は、朗読をされているお客様の舞台を拝見しました。朗読には大きな動きこそありませんが、読みながら観客に配られる視線、声色も読み人によってそれぞれ違いますから、誰もが知っている有名な小説も、声という音に乗ると新鮮に聴こえます。今回は、川端康成の掌小説『妹の着物』を堪能しました。意外にも激情の漂うクライマックスで、今まで知らなかった康成の魅力に触れました。同時に、聴くことだけで想像するという難しさも感じました。

さて着物にも、衣摺れという音がありますが、袷の時と単衣の時ではもしかして音が違うのかもしれないと、今日ようやく気が付きました。