• 細雪が観たくて

    昨日、富山で『細雪』の公演がありました。幸運にも、最前列のど真ん中の席をゲットされた常連のお客様。絲穂で和服姿に変身です。かんざし柄の小紋に、リバー シブルの小袖帯をコーディネート。桜とうさぎの柄、どちらも楽しめる文庫結にお仕上げ致しました。前に桜の柄を出したので、後ろはうさぎをポイントに。この文庫結びは、背もたれに寄りかかってつぶれても平気ですから、運転にも観劇にも向いています。

    観劇前にちょっとひと息。これから始まる華やかな幕開けに心が躍りますね。

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    いざ、出陣。同系色の羽織をお召しになって。深まる秋を感じさせる、上級者の着こなしです。

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  • 湯気の向こう側──炉開きによせて──

    今月は炉開きです。気温が下がり寒くなってくると、釜から上がる湯気が何ともあたたかく、一服が大変おいしく感じる季節です。

    さて、この時期になると思い出すのが、友人に連れられ初めてお稽古場を訪れた日のこと。玄関を入ると、どうやら先生の機嫌がよろしくないようで、 何やら大きな叱り声のようなものが聞こえます。とても厳しい先生だと聞かされ、ただでさえ緊張していた私に追い打ちをかけるようなこの声。茶室の前まで進 むと、釜から上がる湯気の向こうにはズラリと居並ぶお弟子さんたちの神妙な顔、顔、顔。。。ああ、私はこれからこの中に入って、どうなるんだろう。。。緊張と不安と恐怖で(笑)いっぱいでした。

    先生は確かにとても厳しい方でしたから、たくさん叱られました。お稽古を始めて数ヶ月は、お茶室に入ることさえ恐ろしくいつも、ビクビクしてい ました。けれど、やめたいと思ったことがなかったのは、親さえ本気で叱ってくれない年になって、本気で叱ってくれる先生にとても感謝したからです。叱って くれる人は、褒めることも同時にとても上手であることも学びました。ある、たったひとつの動作ができなくて絞られに絞られた後は、必ず「ほら、できたやな いの。それを覚えとき。よう頑張った。」の声がかかります。満面の笑顔で。その笑顔に救われ、叱られ、また救われることの繰り返し。人を叱ることはなんと 大変なんだろうと思いました。よくぞ、何もできない私を叱り、褒め、ながめて下さったと今でも感謝の気持ちでいっぱいです。この頃は、本気で叱ってくれる 人も、この人になら叱られても付いて行きたいと思う人も、少なくなりましたね。寂しいです。

    炉開きの頃、釜の湯気を見るといつも思い出します。先生の叱り声と、笑顔と。それから、先生のご機嫌次第で張りつめたり、笑い声に包まれたりし たお茶室の空気を。初めての日、神妙に見えたお弟子さんたちは、みなさんとても良い人たちでした。喧嘩は両成敗、順番を決める時はくじ引き、早く来た者に 福あり。一番にお稽古に行くと、必ず何かためになるお話しを聞かせて下さいました。早く来た者の特権や、と仰って。ここぞという時は年功序列がありました が、普段はその調子でみな平等。あらそいごとは起きようがありませんでした。


  • 絲穂の楽しみ方11ーBGMー

    店内に流れるのは、いつもクラシック音楽です。日によっていろいろ変わります。好きなのをリクエストするのも一案ですね。近頃は、バイオリンの音色が多いです。

    大きなスピーカーが一対あります。スピーカー好きの方には、興味深いもののようです。

    目も耳も、五感をフル活用して楽しんでください。


  • 型染作家 松原秀子氏の講演

    11月1日日曜日、関西学院会館にて、型染作家 松原秀子さんの講演会が行われました。「型染の魅力についてー実演とともにー」というタイトル通り、実際に型染版画を作る様子を見せていただける貴重なひととき。型染の着物や帯をいろいろ思い出しながら、渋紙の下絵を彫る作業に、糊置き、彩色、水洗と、簡単にですが一通りのプロセスを拝見していると、今までボンヤリと感じていた型染の良さをようやくきちんと理解できたような気がしました。

    松原さんは、装画や蔵書票の型染作家さんです。作品の中でもわらべの図案が印象的なのですが、ご自身、彩色の時にはわらべのホッペを一番に色付けすることでテンションを高めて行かれるそうです。スカーレットという色で染められるホッペは、仕上がるとなんとも可愛らしいピンク色となり、わらべの愛くるしい表情を作り出します。作家さんによって始まりの色は様々だそうで、それが型染の魅力のひとつとのこと。型彫りの時には、下絵通りに彫るよりも、気分次第に刀を進めることが大事なのだそうです。型にハマらない型紙作り、輪郭の中にいかに個性を表現するか、それもひとつの魅力とのことです。

    さて、ただ今関西学院大学博物館(時計台)にて蔵書票の展示展が行われております(12月18日まで)。蔵書票とは、自分の蔵書であることを示すために本の見返しに貼り付ける紙片のこと。愛書家たちが自分の名前とともに好みの図柄を版画家に注文して作らせることが多く、次第に実用から離れ小さな版画作品として鑑賞、収集されるようになりました。いろいろに個性あふれる数々の蔵書票、関西学院でお楽しみいただけます。竹久夢二、棟方志功の作品もあります。芹沢銈介の蔵書票も。もちろん、松原秀子先生の作品も。私は個人的に銅版の「夜の銀座、春の雪」という蔵書票が好きでした。

    是非みな様も、お気に入りの一枚を見つけてください。型染の魅力、たっぷりです。

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  • お知らせ:あなたもひとりで着物を着られるように!

    11月9日(月)より14日(土)まで、ひとりで着物を着られるようになろう強化月間を致します。この機会に着付けにチャレンジしたい方、袋帯にチャレン ジしたい方、自分らしいコーディネートを見つけたい方、どうぞお越し下さい。詳しくは0766−74−6218までお問い合わせ下さい。


  • 羽織の季節です

    ワタクシゴトで恐縮ですが、締めのネタとして今月の感激ショットを。

    去る18日の日曜に開催された、秋のおどりに出演されたお嬢様とのツーショットです。 高校生のお嬢様、これから更なる飛躍が期待されます。おばあ様は、祖母の代から当店のお客様。おふたりでお稽古にはげんでいらっしゃいます。素敵ですね。

    さてこの日、私は市松ぼかしの小紋に、本疋田の名古屋帯(藤井絞製)を締めております。舞踊鑑賞の時は、なるべく明るい色のものを身に着けるようにしています。帯揚げも、普段はあまり使わないピンク色をもってきました。

    これからの季節、活躍するのが羽織です。こちらの黒の羽織、背中と袖にビロードの市松模様があります。お洒落にも、喪にも使えます。とてもとても 気に入っています。動くとよく分かるのですが、身体に沿う感じが絶妙です。完璧な仕立てです。お問い合わせは、0766−74−6218 絲穂まで。 羽織の季節、到来です。

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