• 小紋と小袖帯

    ただいま、前庭を臨むスペースでは、小紋と小袖帯のコーディネートがお楽しみいただけます。

    着物は、手ざし紅型 宮崎良次作。小紋と言えども本格派の一枚。小袖帯との相性もバッチリです。

    さくらさくらの取り合わせ、お洒落で華やかです。パーティやお食事会に素敵ですね。もちろん観劇にも。

    さくらは、春だけのものではありません。日本の花ですから、華となるシーンでいろいろと楽しんでください。

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    こちらもどうぞ。


  • 「ありがとう」の力

    この頃、商売以外のことで、尋ねられたり 頼まれたりすることが増えました。

    例えば、和倉温泉に行きたいんだけど、どこが見所が教えて欲しい。宝塚を観たいんですけど、良い席取ってもらえませんか。などなど。自力でできないことも多いので、私自身もどなたかのお力をお借りするのですが、結果としてご依頼下さった方に喜んでいただけると本当に嬉しいです。

    「ありがとう。楽しい時間を過ごせました。」この言葉を聞くと、素直に嬉しいですね。私もまた、力を貸して下さった方に「ありがとう」を伝えます。「ありがとう」の連鎖「ありがとう」の輪。「ありがとう」という言葉ひとつで、こんなにも幸せな気持ちになれるんだということを、改めて感じている今日この頃。どのような形であれ、誰かの役に立てることの嬉しさを実感します。

    亡き祖母がいつもいつも言っていました。商売するなら、売ることを先に考えてはいけないと。まずは、人に喜んでもらえることをしなさい、商売と関係ないことでも人の役に立ちなさい。それができなければ、ものを売ることはできないと。

    ようやく私も少しはまともは人間になってきたのでしょうか。ともかくも、たくさんの「ありがとう」と、たくさんの笑顔が絶えないように、頼まれやすい人を目指したいものです。


  • 細雪が観たくて

    昨日、富山で『細雪』の公演がありました。幸運にも、最前列のど真ん中の席をゲットされた常連のお客様。絲穂で和服姿に変身です。かんざし柄の小紋に、リバー シブルの小袖帯をコーディネート。桜とうさぎの柄、どちらも楽しめる文庫結にお仕上げ致しました。前に桜の柄を出したので、後ろはうさぎをポイントに。この文庫結びは、背もたれに寄りかかってつぶれても平気ですから、運転にも観劇にも向いています。

    観劇前にちょっとひと息。これから始まる華やかな幕開けに心が躍りますね。

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    いざ、出陣。同系色の羽織をお召しになって。深まる秋を感じさせる、上級者の着こなしです。

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  • 湯気の向こう側──炉開きによせて──

    今月は炉開きです。気温が下がり寒くなってくると、釜から上がる湯気が何ともあたたかく、一服が大変おいしく感じる季節です。

    さて、この時期になると思い出すのが、友人に連れられ初めてお稽古場を訪れた日のこと。玄関を入ると、どうやら先生の機嫌がよろしくないようで、 何やら大きな叱り声のようなものが聞こえます。とても厳しい先生だと聞かされ、ただでさえ緊張していた私に追い打ちをかけるようなこの声。茶室の前まで進 むと、釜から上がる湯気の向こうにはズラリと居並ぶお弟子さんたちの神妙な顔、顔、顔。。。ああ、私はこれからこの中に入って、どうなるんだろう。。。緊張と不安と恐怖で(笑)いっぱいでした。

    先生は確かにとても厳しい方でしたから、たくさん叱られました。お稽古を始めて数ヶ月は、お茶室に入ることさえ恐ろしくいつも、ビクビクしてい ました。けれど、やめたいと思ったことがなかったのは、親さえ本気で叱ってくれない年になって、本気で叱ってくれる先生にとても感謝したからです。叱って くれる人は、褒めることも同時にとても上手であることも学びました。ある、たったひとつの動作ができなくて絞られに絞られた後は、必ず「ほら、できたやな いの。それを覚えとき。よう頑張った。」の声がかかります。満面の笑顔で。その笑顔に救われ、叱られ、また救われることの繰り返し。人を叱ることはなんと 大変なんだろうと思いました。よくぞ、何もできない私を叱り、褒め、ながめて下さったと今でも感謝の気持ちでいっぱいです。この頃は、本気で叱ってくれる 人も、この人になら叱られても付いて行きたいと思う人も、少なくなりましたね。寂しいです。

    炉開きの頃、釜の湯気を見るといつも思い出します。先生の叱り声と、笑顔と。それから、先生のご機嫌次第で張りつめたり、笑い声に包まれたりし たお茶室の空気を。初めての日、神妙に見えたお弟子さんたちは、みなさんとても良い人たちでした。喧嘩は両成敗、順番を決める時はくじ引き、早く来た者に 福あり。一番にお稽古に行くと、必ず何かためになるお話しを聞かせて下さいました。早く来た者の特権や、と仰って。ここぞという時は年功序列がありました が、普段はその調子でみな平等。あらそいごとは起きようがありませんでした。