• お宮参りの新提案

    お客様よりご投稿です。今年の春にお子様のお宮参りをされた時のお写真です。お召しなのは、市松ぼかしの小紋。小紋ですが、このように吉祥柄の帯を組み合わせると色無地感覚の装いとなります。まさに現代のフォーマル、とても素敵ですね。豪華な訪問着とは違った、シンプルな美しさがあります。着付けはお母様がされたとのこと、自然な感じでいいですね。

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    市松ぼかしの魅力は、柔らかく女性らしい雰囲気です。

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    色違いは、こちら。8月26日のブログで。


  • ランチ、落語、余韻のお茶ー京都満喫編ー

    9月27日日曜日。見事な秋晴れ。京都南座にて、三代目桂春蝶さんの襲名披露が行われました。桂米朝さん、ざこばさん、三枝さん、春團治さん、そうそうたる顔ぶれが揃い、美しい蝶の門出を祝いました。茂山逸平さん、童子さんによる狂言も愉しめました。この日、三代目春蝶さんは、お父様の二代目春蝶さんが得意とされた人情噺「一文笛」を熱演されました。スリのお噺ですが、こんなスリになら、すられてもいいかもと思ってしまいます。来年には金沢での公演もあるそうです。興味のある方は、是非。

    さて、落語は午後2時からだったので、せっかく京都に来たのだから素敵なランチタイムをということで足を運んだのが、南座のほど近く、レストランMAEKAWA 。フレンチのお店です。少しお値段は張りますが、満足できるお料理がいただけます。この日、一番のヒットは焼きなすのポタージュでした。なすの苦みやくせが一切なく、ほのかに甘い優しいスープ。驚きのひと品です。カフェのみの利用もできますので、お近くまで行かれた際には是非。店内から見える風景がとても贅沢です。紅葉の季節は、必見の景色でしょう。

    さて、お腹いっぱい笑った後は、余韻に浸りながらのティータイム。老舗、ソワレにて。色とりどりのゼリーが入ったメニューが人気です。

    こちら、ソワレの外。友人は、お母様から譲られた紬に、ミンサの帯を合わせております。ちょうど今頃の季節にぴったりです。

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    こちら、店内、薄暗くなっております。私は、江戸小紋に型絵染めの帯を締めております。春蝶さんのお披露目ということで、蝶の柄を選びました。

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    ランチ、落語、余韻、着物で京都を満喫した一日でした。


  • 織りの帯の愉しみ

    先のお茶会で、母が締めていた帯はどれも織りのものでした。しかも、無地感の。織りの表情だけで雰囲気を出すこの種の帯は、一本あるとなかなか良いと思います。薄物から単衣に切り替る頃に、季節感も演出できるアイテムです。

    例えば、綿織りのグリーンの帯。綿独特の柔らかさと、染色の優しさがちょうど秋を予感させる季節にぴったりです。着物も大島と、織りのと織りの共演ですが、それぞれの表情が活きてきます。

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    こちらの帯は、松尾鏡子作。絹の光沢が特徴で、ちょっと勢いのある帯です。今回は敢えて同系の色無地と合わせました。染めの着物は柔らかく、織りの帯はピリリと、無地同士でメリハリをつけるのもいいもので。

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    織りの帯というものは、実際に締めてみないと本当の良さは分かりません。角度や動作によって様々に表情を変えますので、長年付き合っていてもいつも新しい発見があります。今回、立ち姿を撮ってみたのですが、あまり面白くありませんでした。織りの帯は、やはり動きの中で魅力を発揮するのでしょう。釜の様子をうかがっている後ろ姿に、ああ、いい帯だなと素直に感じました。


  • 藤井絞の記憶─フェルトの毛氈─

    藤井絞と言えば手絞りの毛氈というぐらい、ずっと昔から記憶に刻まれたものです。この毛氈は、先週のお茶会で久しぶりに出しましたが、改めて良さを実感。浸け染めならではの深い色合いと、手仕事ならではの優しい雰囲気が大好きです。

    お客様にも好評で、その昔、お求めになったお客様方は、そういえばうちにもある!!と思い出され当時のよもやま話で盛り上がりました。今まで知らなかった、祖母とお客様のエピソードのいろいろを聞かせてもらうことができました。

    記憶を呼び覚ます、藤井絞の毛氈でした。

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  • 竜巻絞り

    ただ今、エントランスには藤井絞製、竜巻絞りの着尺がディスプレィされています。

    月をモチーフにした帯も素敵ですね。写真がボヤケててすみません。是非、店内で実物を御覧下さい。

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    ちょっと目線を上げていただくと、季節の額も飾ってあります。 蒔き糊(まきのり)の菊模様です。

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  • 一期一会

    清水卯一さんの水差しです。釜と同様、50年前に母がお茶のお稽古を始めた記念に、祖母が揃えたものです。一度も使われないままだったので、今回のお茶会では、当初この水差しを取り合わせる予定でしたが、じわじわと水が漏れてきました。急遽、別のものに変更した次第です。水差しは、お米のとぎ汁を入れて、中に膜を作って漏れをなおすそうですね。時間をかけて。果たして、この水差しを使う時はやってくるのでしょうか。

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    一期一会という言葉通り、お道具の取り合わせも、まさにその時限りのようです。縁がなければ、手元にあっても使えないんですね。母は、若い頃から茶道に縁があり、教えていたこともお茶会を設けたこともありましたが、今回使った釜もこの水差しも、ついぞお披露目できないままでした。稽古にこそ通っていてもペーペーの私が、50年後の今、まさかあの釜でお点前をする日がくるなんて•••。本当にありがたいご縁をいただきました。

    きちんとした案内状を出したり、特別なお知らせをすることなく、数日間何となくお茶席ムードを楽しんでいただけですが、予想以上にたくさんのお客様が遊びに来て下さいました。当たり前のことですが、メンバーが違えば会話も違ってきます。毎回が新しい時間でした。一期一会とは、こういうことなのかと、初めて言葉の意味が少し分かったような気がします。ご縁やタイミングは、自分の力ではどうすることもできないことだけに、たいへん不思議で面白いものですね。この連休は、お客様から、お道具から「ご縁」という大切なものを学びました。