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  • 絲穂の展示会場への歩き方

    初めての方も、そうでない方も、ここできちんと絲穂の二階への辿り方をおさらいしましょう。今週は、常時きものを展示している会場への歩き方、見どころをおさらいしていきます。結構たくさんのポイントがあるんですよ。

    常連の方でも以外と気づいていらっしゃらないしかもしれません。「絲穂」の看板です。生前、祖母と親交の深かった染織家の先生の筆です。

    しほ

    いざ歩を進めましょう。入り口には一年中ユリの花を欠かしません。今日もきれいに咲いていますね。いらっしゃいませと語りかけているのように生けることを、毎朝心がけています。

    yuri

    階段を上ると踊り場には、貴重な時代裂ばかりを集めた屏風があります。よくご覧になったことはありますか?刺繍や染め織り、今ではできなくなったもの、できなくなりつつある職人技をうかがうことができます。興味のある方は閉じている面も、是非ご覧下さいね。

    時代裂

    明日は、階段から目線を上に向けてみます。さて、何が見えてくるでしょうか。。。


  • 富山の寿屋さん

    時々ですが富山まで赴くと、リカーショップ寿屋さんに立ち寄ります。お酒が飲めない人でも楽しめるお店です。ワインの品揃えはもちろん、チーズやウィンナーのラインナップもとても充実しています。富山では寿屋さんでしか手に入らないようなものもあります。また、チップスやクッキー、焼き菓子などのお菓子類、それから調味料なども多彩で、いろいろと目移りしてしまいます。成城石井やイカリスーパー、デパ地下に揃っているものの中でも、これは欲しいという品ばかりがうまく取り揃えられており、まさに痒いところに手が届くお店です。

    さて先日はちょっとお洒落なビールを購入致しました。埼玉県川越の地ビール、コエドです。左から、「漆黒」「紅赤」「瑠璃」と名が付いています。他にも「白」と「伽羅」があります。お酒にあまり興味のない私でも、スタイリッシュなデザインと和風のネーミングに惹かれ、つい手が伸びてしまいました。紅赤を少しいただきましたが、さらりと軽い口当たりで、お酒が苦手な方でもいけるのではないでしょうか。一方頭の中は、それぞれのビンのイメージを和服で表現するとどうなるだろうと、大変忙しくなりました(笑)

    koedo

    さて、こちらはベルギーのチョコレートを使用した豆乳チョコレートドリンクです。これまたパッケージに惹かれて買ったのですが、絶品です。程よい甘さが忘れられません。

    チョコレート

    富山テレビの近くまで行かれた折には、是非お立寄下さい。氷見からですと有沢橋を渡ると、すぐ左手に見えてきます。いつもエネルギッシュで誠実な社長さんのお人柄が反映された、素敵なお店です。


  • 深まる秋ーユリとカーネーションー

    毎月お花をお贈りくださるお客様より、素敵な秋の風情です。ユリとカーネーションの共演。ちょうど今の季節にぴったりのお色目です。

    ゆり

    カウンターにも、カーネーションを。ひとつひとつ色が微妙に違うのが、また愉しいですね。

    カーネーション

    こちらの濃い色も、美しいです。

    カーネーション2

    お花は金沢でと、こだわりのお客様ですので、いつもお見立ては抜群です。お客様皆さま、それぞれにお気遣いを下さり、お心を運んで下さいますことに感謝します。


  • 『父の背中 子がつづる北陸ゆかりの志士たち』

    先日、偶然にみつけた本です。『父の背中 子がつづる北陸ゆかりの志士たち』。戦前戦後に名を残した北陸ゆかりの文士、画家、実業家(井上靖、高見順、棟方志功、室生犀星 etc…)など12人の子息が、父親の姿について書いたものです。様々な父親像がとても興味深く描かれており、たいへん面白く読めます。

    印象に残っているのが、高見順さんを父に持つ、タレント高見恭子さんのエッセイです。ひとりの父親としての姿よりも、小説家 高見順としての姿を貫き通した父の遠い背中、時に見せてくれた愛情など、ちょっと切なくて、とっても素敵なエピソードでした。

    どこかで目に留まれば、手に取ってご覧下さいね。


  • つんとした空気

    秋の深まりを日ごとに感じます。もみじは、まだまだ青いのですが、やはり夏の頃の青さとは違います。暑い頃は、葉の先まで瑞々しい勢いがありましたが、この頃は、秋のつんとした空気に、葉の先までつんとしたような、少し緊張したような風情を見せています。特に気温の低い朝は、空気にくっきりと葉の輪郭が映え、とても美しいものです。

    カエデ1

    前庭を臨むスペースは、特等席です。秋のつんとした空気を、ぜひ楽しんで下さい。

    カエデ2


  • 指が訴えること

    秋晴れの空に恵まれたとある日曜、京都の東福寺にて舞「松の緑」をみせていただくご縁をいただきました。林泰子さんという舞踊家の方の企画で、今回のテーマは「指(手)が訴えること」。昨今、自己表現やコミュニケーションと言えば、メールばかりの世の中ですが、果たして言葉だけで十分でしょうか。言葉では足らない部分を、例えば手の表現で補ってみてはいかがでしょう、という舞を通じてのサジェスチョンです。

    「松の緑」は、右手に持った扇でいろいろな表現をする舞なのですが、扇を投げて受け取る動作や、要返しなどが繰り返されるので、体のほかの部分のゆっくりした動きに対して、手の動きは躍動的で目立ちます。たくさんの動きを、きっちりと美しく手指で表現するには、扇を自分の手の延長として、先にまで神経を集中させる訓練がどれだけ必要かと思います。

    舞に限ったことではなく、日常においても我々の手はいつも手ぶらではありません。バッグを持ったり、ペンを持って何かを書いたり、お箸を持って食事をしたり、様々な動作をします。とても無意識的に。この日常の動作ほど、良くも悪くもその人「らしさ」が表れるものはありませんね。これら無意識のことにきちんと意識を向けてみると、うまく「自分らしさ」を表現できるのではないかと、舞を通して感じました。日常と、自分自身を見直す良いチャンスでした。

    ちなみに林さんご自身は、例えば相手にコップを差し出すときには両手で置く、書類を差し出すときも、空いている手を添えるなど、ものを丁寧に扱うことを大事にしていらっしゃるそうです。それは同時に、相手を尊重することにもなり、物事が円滑に運ぶことに繋がるとのことでした。

    言葉だけでは、十分ではありません。言葉を尽くせば尽くすほど、伝わらない場合も多々あります。しぐさだけでも十分ではありませんが、言葉を補う方法としてのしぐさ、自己表現をうまく身につけたいものです。


  • 手をめぐる四百字

    季刊『銀花』の連載をまとめた『手をめぐる四百字』という本があります。作家、役者、ピアニスト、画家、あらゆるジャンルの著名人が、それぞれ「手」について四百字のエッセーを書いています。生原稿がそのまま載っていて、その人の書く文字そのもの、筆跡、文体、息遣いがリアルに感じられます。

    この度パート2が出まして、こちらは女性だけのエッセーを集めたものです。女性だけと言えど、職業や生い立ち、歩んできた道のり、刻まれた記憶よって、こんなにも様々な「手」があるものかと驚かされます。どれも印象的で、これはというひとつをご紹介できません。四百字は原稿用紙一枚ですが、ほんの一枚に収められた「手」の世界は、限りなく広く深いものです。

    明日で彼岸が明けますが、この一週間は、ご先祖に手を合わせることが多かったのではないでしょうか。故人を想う時、祈る時、厳かな気持ちの時、自然に手を合わせてしまいます。手は、非常にスピリチュアルな部分なのでしょう。

    さて、身に着けるものを選ぶ時、顔映りばかりを気にするものですが、手映りというものも、これ大切です。腕を露出しない着物の場合は特に。袖口から見える手は、まさにその人と成りそのもの。手によく映る色、柄、生地感を発見して行くのも、和装の楽しみです。

    この秋は、手について少し考えてみましょうか。