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  • 素夢子にて

    さて、展示会の帰りは、久しぶりに譽田屋さんの経営する古茶屋 素夢子に立ち寄りました。韓国のお粥、お茶、漢方ケーキ、お菓子など本格的な味が楽しめます。柿渋で統一された店内は、一瞬にして異空間に入り込んだような、独特で落ち着いた雰囲気です。この日は残暑が厳しく、韓国冷麺をいただきました。ソバ粉とイモデンプンを折込んだ麺に、少しピリ辛のつゆと、お野菜を絡めて。夏だけの限定メニューです。

    九月に入っても日差しの厳しい日には、変わり絽の着尺をよく纏います。無地のように見えますが、実は柄があります。色も、白でもベージュでもない微妙な色。何となくボヤボヤと、はっきり実態のない雰囲気が(笑)気に入っています。譽田屋さんの本羅の帯を締めて。母の代からの愛用品です。帯は、長い時間をかけて身に付けると本質がよく分かります。この帯は、打ち込みがしっかりしているので、どれだけ時間が経ってもびくともしませんし、デザインもまったく古びませんね。むしろ、新しい感覚を覚えるほどです。

    絽

    籐のバッグも、まだまだ活躍します。

    籐

    暑い中、着物を纏うことは大きな我慢ですが、その我慢こそ日常にメリハリを持たせる良い刺激でしょう。着物に限らず、きちんと身支度をして、どこかに伺い神経をフルに使うことは大切ですね。


  • 今秋は、紫系が人気です

    こちら、お客様がお持ちだった白生地を単衣用にと染めたものです。きれいな藤紫ですね。もちろん、お客様のお好みがそれぞれありますが、今秋は紫系が人気です。春単衣にも秋単衣にも着回しができますし、華やかさと上品さがあります。今年の秋は、紫にチャレンジされてはいかがでしょう。

    紫色無地


  • 男の子の四つ身

    今夏、男の子が誕生され、節目に正式のお着物を揃えられたお客様がいらっしゃいます。贅沢なお誂えを、少しご紹介します。

    加賀は手描き友禅の四つ身一式。着物とお揃いの羽織も、素晴らしいですね。

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    鱗模様の襦袢は、何とも言えない素敵なお色です。袴ももちろん別注ですが、ここでは勿体なくて、全部お見せできません。

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    いつか、成長された男の子が、一揃えを纏う日がやって来た時に…。

    お楽しみは取っておきましょう。


  • 麻の紺色の帯揚げ

    今夏、好きでよく組み合わせました。鮮やかな水色の夏大島と、芭蕉布。ここで大活躍したのが、麻素材の紺色の帯揚げです。紺という色だけでなく、麻の素材感が、大島の水色と芭蕉布のベージュ系をうまく調和させました。着物も帯も織物の場合、帯揚げは縮緬のような柔らかい素材にするよりも、麻など少しざっくりした素材を合わせると、全体がまとまるようですね。ほんの少ししか見えない帯揚げですが、色だけでなく素材選びもコーディネートの重要なポイントです。紺色は、困ったときのお助けアイテム。着物と帯の色がケンカしそうになったら、紺色を合わせてみてください。それから、グレーも中和色に最適です。

    大島


  • 麻の帯

    ただ今のエントランスです。色無地に麻の名古屋帯を合わせて、秋単衣の装いに。幾何学模様がお洒落な帯は、紬から小紋、色無地までシーンに合わせていろいろに楽しめます。5月から9月半ばまで長い期間、活躍します。

    写真では分かりにくいのですが、色無地は、地模様がとても素敵なんですよ。是非、店内でご覧下さいませ。

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  • 帯留の彩り

    今月は、母も着物を着る機会に恵まれましたが、そのたびに帯留をいろいろと楽しんでおりました。

    例えば、芭蕉布の帯には琥珀を合わせて。着物は夏大島です。

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    羽田登喜男作、友禅の染め帯には珊瑚の赤を効かせて。 着物は芭蕉布。平良敏子さんの作ですが、珍しい紺系のもの。年月を経て、だんだんと良い色に落ち着いてきました。

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    芭蕉布については、『平良敏子の芭蕉布』を是非ご覧下さい。


  • 今年も金麦!

    さて、先日から放映中の金麦CM、浴衣バージョンにご注目を。去年の雪花絞りに続き、今年も藤井絞さんの浴衣を壇れいさんがお召しです。地色のグレーがかった水色は、藤井さんならではの色です。

    大人っぽさと可愛さが同時にうまく表現されていますね。帯の黄色も効いています。非常にシンプルなコーディネートですが、とっても素敵ですよね!

    当店にも、似たような雰囲気の着尺が多数揃っております。自分らしさを上手に引き出せ、長く愛せる浴衣、皆さまおひとついかがでしょう?

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    CMの動画はこちら


  • 会の醍醐味は…

    こちら、昭和初期の留袖です。ほとんどの方が、長い時間足を止めてご覧になっていました。初日の午前中の様子です。京都からお手伝いに来て下さった、染織に詳しい問屋さんが、専門的に説明しています(左端の男性)。

    明治〜大正の頃は家紋がとても大きかったのですが、昭和に入るとグッと小さくなるそうです。それから、模様の、水のような波のような部分の灰色が、技法的に表現するのがとても難しく、それゆえにこの留袖はとても価値のあるものなんだそうです。この時間にお見えになったお客様は、ラッキーでしたね。

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    昔の着物は、どれもこれも裏地や裾や、見えない部分や細部に凝って作られています。ついつい気になって、紫の裏が赤だった… なんて触れてみることができるのも、今回の会の醍醐味でした。豪華な刺繍も織りも、至近距離で見て触れることのできるチャンスは、なかなかありませんよね。

    余談ですが、母が締めております帯は、沖縄の芭蕉布です。天然素材の良い色合い、皆様に好評でした。

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  • アールヌーヴォーの着物、etc、etc

    さて今日は、私が個人的に好きだった着物や作品をご紹介します。こちらのゾーン。一番左の着物、まさにアールヌーヴォーの世界!色合い、柄、なんと美しいのでしょう!そのままエミールガレのガラスになりそうですね。特筆すべきは、赤の刺繍でしょう。花やトンボの赤に、ハッとします。

    お隣は、絽の四つ身です。当時は、子供の着物も落ち着いた色合いのものが多かったようですね。それもひとつの発見でした。

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    こちらは、明治大正期の裂を額に収めたもの。数十点がずらりと並びました。どれもこれも特徴的で、染織の辿ってきた道を想像します。個人的には、右の額が最も印象に残りました。青の部分は、藍色なんですって。今は一般的に、藍というともっと濃い色を連想しますが、その昔はこれが藍色だったのかと、時代の象徴としての色をうかがえますね。

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    こちら、祖母が原寸の三分の一に縮小して作ったミニチュアきものです。時代裂で作られたたくさんの作品は、宝物です。赤や紫など、鮮やかな裂の作品も多数ありますが、個人的にはしっかりした縮緬の、渋めの色合いのものが好きです。以前から、よく床の間や玄関に飾りインテリアとして楽しんでいましたが、今回の展示会を機に、歴史的価値もきちんと認識し直しました。

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  • 花嫁の衣装

    こちらの花嫁衣装は、明治時代のもの。今回の展のポスターになった打ち掛けです。カキツバタとつがいのおしどり、水辺の様子が豪華な刺繍で表現されています。なんと言っても、地色の紅が圧巻。深い深い色に、皆様ため息でした。染料は、何なのでしょうね。現代では出せない色、できない刺繍、ずっと見ていても飽きません。

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    こちらは、花嫁が嫁ぎ先に向かう道すがら着た道中着です(明治初期)。紫がかった色がだんだんと薄い鼠になっていく地色が、まずとても美しいですね。手描きの友禅と刺繍を併用し、まさに贅を尽くしたこしらえです。大きな家紋も、すべて手刺繍。ひとつひとつの技に驚きの連続でした。

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    こちらは、一番人気のあった打ち掛けです。龍村の唐織り。繭そのものの色が、そのまま残っていますね。いかに上質の繭で織られたものかがうかがえます。織りもさすがに素晴らしい打ち掛けです。横は、ともの長襦袢。まさに紅絹の色、美しいですね。

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    どれもこれも豪華ですが、それぞれに雰囲気や作風は異なります。きっと、お召しになるお姫様に似合うように作られたからなんでしょうね。いったい、どんなお姫様だったんだろうという声があちこちで。女心の気になるところは、やはり、そこですね。