先のお茶会で、母が締めていた帯はどれも織りのものでした。しかも、無地感の。織りの表情だけで雰囲気を出すこの種の帯は、一本あるとなかなか良いと思います。薄物から単衣に切り替る頃に、季節感も演出できるアイテムです。
例えば、綿織りのグリーンの帯。綿独特の柔らかさと、染色の優しさがちょうど秋を予感させる季節にぴったりです。着物も大島と、織りのと織りの共演ですが、それぞれの表情が活きてきます。
こちらの帯は、松尾鏡子作。絹の光沢が特徴で、ちょっと勢いのある帯です。今回は敢えて同系の色無地と合わせました。染めの着物は柔らかく、織りの帯はピリリと、無地同士でメリハリをつけるのもいいもので。
織りの帯というものは、実際に締めてみないと本当の良さは分かりません。角度や動作によって様々に表情を変えますので、長年付き合っていてもいつも新しい発見があります。今回、立ち姿を撮ってみたのですが、あまり面白くありませんでした。織りの帯は、やはり動きの中で魅力を発揮するのでしょう。釜の様子をうかがっている後ろ姿に、ああ、いい帯だなと素直に感じました。