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  • マイワードローブ:その1

    ワタクシゴトですが、愛用している着物、小物の組み合わせについて書きます。帯締め帯揚げの組み合わせは、大まかに分けてフォーマル用、きちんと用、カジュアル用の三種類。

    こちらフォーマル用、帯締め帯揚げともに白の組み合わせ。帯締めの房の赤がポイントです。

    Aタイプとしましょう。

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    こちらカジュアル用。帯締め帯揚げともに紺色で、ピシッとコーディネートを締めます。

    Bタイプとします。

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    おでかけ用は、AとBの帯締めをそのまま活用。帯揚げだけ変えます。 ちょっとポイントをつけたい時は、赤い水玉絞りの帯揚げを。

    Cタイプ 。

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    お出かけする場所によってちょっと華やかさを出したい時は、薄いピンクの帯揚げを。

    Dタイプ。

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    さて、これらの小物をフル活用させ、帯をいろいろ変えながら無地の着物二枚を着回しています。

    こちら、お気に入りの江戸小紋。毛万筋(けまんすじ)という模様で、毛のように細い筋が何万とあることを意味します。

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    八掛の色も気に入っています。

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    こちら二枚目の着物、黒無地の大島紬。着る度に柔かさが増し、スベスベと羽二重のような感覚です。 黒と言っても泥染の黒なので、光の具合によって赤茶に見えたり、深い深い良い色です。

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    八掛の色は薄墨桜。裏地で春を演出するのもいいものです。

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    さてさて、二枚の着物と数パターンの小物を実際に組み合わせてみますが、それはまた明日からのおはなし。


  • このごろのメインテーブル

    うさぎ柄の付け下げ。やさしい薄紫色が特徴です。 名古屋帯は東京友禅「恵光童子」。塩瀬です。

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    こちら、裾模様のうさぎさん。

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    左胸と左袖のうさぎさん。躍動感と豊かな表情が魅力的ですね。

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    こちら帯のアップ、背中に出る部分です。こちらも表現豊かな作品ですね。力強さと上品さを感じます。

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  • 土曜にお越しのお客様

    土曜日にお越しになったお客様、結婚式からのお帰りとのこと。 から絞りの訪問着に、唐織りの袋帯の組み合わせ。豪華さと上品さを兼ね備えた、まさに大人の女性の着こなしです。 帯は大変シンプルですが、着物に負けない迫力があります。

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    こちら、最大の注目ポイント。袖のふりからチラリと見える襦袢のうろこ模様。 襦袢の挿し色と帯、帯締めとの色合い。 このアングルが美しいと、きもの姿として完璧でしょう。 こんな細部にまで気を配ることができれば、最高ですね。

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  • 続:男の人ときもの

    学生落語に時々ハマる私ですが、今は亡き名人のDVDにハマることもしばしば。五代目古今亭志ん朝さんは、素敵ですねぇ。噺についてはもちろん名人ですから、落語素人の私からはコメントするまでもありません。

    目下の楽しみは、高座ごとに違う着物です。志ん朝さんは、まさに粋。江戸小紋のような細かい縦縞で鼠系のお着物をよくお召しでした。それ以外ですと、全く無地のもの。粋でいらっしゃるのですが、品と色香があり、いざ座布団に座された時には、特有の佇まいがあり、この人は絶対に面白い噺を聴かせてくれるに違いないと確信します。 噺の最中に、襟の方が少々着崩れても美しい。何より好きなのは、ソデから座布団まで歩いていらっしゃる、所作。男の着物姿とはこうあるべきだー!といつもホレボレ。 噺とは、座って噺をするだけが噺ではなく、その前後ぜんぶひっくるめて噺なんですね。

    噺家というのは、噺をするから噺家なんじゃなくて、噺てない時にこそその真価が問われるのでしょう。 とにかく私は和服姿の志ん朝師匠に見とれているだけですので、落語についてはどなたか語って下さい(笑)個人的には、「搗屋幸兵衛」が好きです。

    “落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上” (TBS)

    “落語研究会 古今亭志ん朝 全集 下 [DVD]” (Sony Music Direct(Japan)Inc.(SME)(D))


  • 男の人ときもの

    先日在庫の整理をしていたところ、男物の紋付と袴の生地がたくさん出てきました。昔は、結婚という節目にきっちりと男性のきものも一揃え誂えたものなのですね。自宅の箪笥の中でも父のきものに遭遇することがあるのですが、男性が身に着けるものには女性をハッとさせる雰囲気があります。きっぱりと、美しい。女性の晴れ着とはひと味違いますね。民族衣裳には、男らしさ女らしさというものがきちんと反映されていることを痛感します。

    一昨年でしたか、歌舞伎役者の市川団十郎、海老蔵さん親子がパリオペラ座で公演されたときのこと。その特集をしていた雑誌の中に、衝撃的な写真が一枚ありました。黒紋付に袴姿の役者たちが、黄金の間でパリの紳士たちと並んでいるもの。高い高い天井のゴールドで統一された広間に、紋付と袴が見事にマッチし溶込んでいました。本当に美しかった。紋付袴の日本人と、タキシード姿の紳士たち。異なった文化を持つ人々が、何の違和感もなくそこにいました。 紋付に袴という究極にシンプルな装いは、異国のきらびやかな文化に匹敵するほどの、時にはそれを凌ぐほどの力を発揮するのでしょう。

    日本の衣裳は美しい。男性が纏うと、なお。

    “市川團十郎・市川海老蔵 パリ・オペラ座公演 勧進帳・紅葉狩(DVD付) (小学館DVD BOOK―シリーズ歌舞伎)” (小学館)


  • 予告

    立松和平氏の『きもの紀行』シリーズは、今月で終了します。皆さま是非、お手元に一冊。写真を見ているだけでも美しく、奥深さを感じます。

    さて、来月からはこちらの染色現代日本地図にのっとり、日本列島きものの旅シリーズを始めてみます。きものを作る技術だけを外国人に教えコストを低くし、外国で大量に安い商品を作ってみても、それは「きものまがい」です。その土地その土地に根ざした草木、水、土、空気、光、人間すべてが合わさって初めて「きもの」であること、私なりの言葉で伝えて行こうと思います。日本は美しい国です。

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    地図提供、太田和株式会社


  • 『きもの紀行』シリーズ3ー甲田綏郎の世界、家族の絆が繋ぐ袴ー

    立松和平氏の『きもの紀行』第三弾は、精好仙台平(せいごうせんだいひら)という袴に注目してみましょう。

    もともとは、仙台藩が生産した御用織物である仙台平ですが、今では甲田綏郎(よしお)さん一家のみが織る大変貴重なものとなりました。身に着けると、その価値はまさに身を以てわかるそうですが、生地に触れてみるだけでもわかります。この袴は、ただものではないという緊張感が指先に走ります。背筋が伸び、拝みたくなるような神々しさが漂います。張りと柔軟性の見事な融合。やはり男性のためのもの。女性には着こなせない位の高さを感じます。

    『きもの紀行』に、「一糸現念」という言葉が紹介されています。甲田家に代々伝わる言葉で、立松氏曰く、

    機を織るときの心構えであるという。一糸に、糸を紡ぐ人、染める人、織る人、着る人、すべての思いが現れるという意味だろうか。

    身に着ける人が檜舞台に立つことを想像し、全身全霊をかけて織る、それが甲田家のやり方。先代の甲田栄佑さんの教えは、綏郎さんと、後継者である娘さんたち、お姉さん、妹さんにしっかりと受け継がれています。

    伝統を守り、仕事を守り、家族を守る。容赦なくはいってくるものと戦って、結局、伝統と仕事と家族だけが残ってきた。この道以外に生きる道はないんですね。。。仕事していく過程で、親の心の受け継ぎがわかります。親から子への魂の受け継ぎなんです。一生が勉強です。根気がいる仕事ですから、いつも心を平にして、一心に仕事に打ち込めるのも、家族の支えがあるからこそなのです。

    と、綏郎さん。仙台平の神々しさは、甲田一家の絆から生まれ出ているのでしょうね。

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