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  • 昭和54年者

    ワタクシゴトで恐縮ですが、今月30歳になりました。こちらの二反の小紋は私と同い年です。昭和54年に祖母が仕入れました。

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    20年30年あるいはそれ以前の反物が、蔵や箪笥の奥からよく出てくるのですが、その価値が全く損なわれていないことにいつも驚かされます。むしろ、今の時代には更なる価値を持って輝きます。もし自分だったら、長い長い間だれの目にも触れず、存在を認められずにいてそれでも、きちんと「自分」であり続けることができるだろうかと思います。反物はすごいですね。いつもいつも「そのもの」であり続けることができる。時代や流行に流されない芯の強さを感じます。だから本当に美しいのでしょう。

    きものの世界には、染色や技法の奥深さから学ぶことも数えきれないほどありますが、その存在そのものから刺激を受けることもまた多くあります。同い年の反物を目の当たりにし、ブレない人間にならなくてはと痛感するばかり。以前は、美しい反物に囲まれていることをただ単純に幸せだと感じていましたが、段々と、その気持ちに責任感やプレッシャーが加わってきました。その責任感といかに向き合って行くかということに、30代のテーマはありそうです。


  • 小紋付け下げというすぐれもの

    こちら、小紋付け下げと申します。小紋でもあり、付け下げでもありますから帯次第でフォーマルもセミフォーマルもこなせます。名門、野口の臈纈染め。柄行きといい、色合いといい大変お洒落な一枚ですね。帯は上原美智子作、無地の名古屋帯。光の当たり具合で様々な表情を見せる、絶妙な織り感が魅力です。

    単衣の時期にも結婚式やパーティに招待されたり、格式あるお茶会に招かれたりする機会が結構ありませんか?そんな時は、このような小紋付け下げが一枚あると助かります。この取り合わせで春単衣も秋単衣もバッチリです。

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    春には、単衣〜盛夏用のすっきり色の帯締めで。

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    秋にはグッと深い色の帯締めを合わせて。同じきものと帯でも、帯締め一本で雰囲気がガラリと変わります。

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  • 続:単衣も江戸小紋を

    さて、単衣向きの江戸小紋をいくつかご紹介致します。江戸小紋と言うとシックなイメージばかりが先行しますが、そうではありません。明るく華やかなタイプもございますので、どうぞご覧下さい。

    こちら、市松模様の中に細かい細かい橙色のドットがあるタイプ。赤でもなく、ピンクでもなく、ベージュでもなく、微妙な色合いが上品ですね。

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    アップにすると、こうなります。

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    こちら、少し太い縞模様の江戸小紋。

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    アップにしてみましょう。よく見ると、緑と黄色の共演です。縦縞模様は、きっぱりと粋な柄ですが二色で表現されていることにより優しい雰囲気に仕上がっています。粋なものはちょっと苦手という方にもオススメの一枚です。

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    さて、こんなのはいかがでしょう。一般的な江戸小紋とはひと味違いますね。柄が少し大きめですから、無地っぽいものに抵抗のある方にも楽しんでいただける一反でしょう。

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    江戸小紋は、型染めの一種です。型をすべて手で彫ることから始まります。細かいドットもひとつひとつ手彫り。小さい桜の花を彫る場合も、花びらを彫る道具と花の中心点を彫る道具は違います。すべて手作業で彫られた型を、白生地の上にのせ染料をかけて染めます。長い白生地の最後まで同じことを繰り返します。型と型のつなぎ目の染めが一番難しいそうです。そこがつなぎ目とわからないようにするためには細心の注意が必要ですから。すべて人の手で作られたものは、実際に身に纏うとふうわりと柔らかな雰囲気になります。色も、ずっと見ていたくなるような優しい感じ。機会で大量生産されたものは、カチカチ、ガチガチ。目を突くような色をしています。

    江戸小紋未体験の方、是非一度お召しになって下さい。生地も上質で、肌に触れる感覚がとても良いんですよ。幸せを感じるきものです。


  • 単衣も江戸小紋を

    単衣を纏う時期は、一般的に6月(春単衣)と9月(秋単衣)と言われておりますが、5月も連休の頃から随分と気温が上がりますから、20度を越す陽気の日は私は迷わず単衣に袖を通します。動くと暑いですから。

    また、夏が終わっても、昨今は残暑がいつまでも厳しいですから何となく10月いっぱい単衣が放せません。年間を通して、気温の高い時期が増えました。旧来の概念にあまりとらわれず、臨機応変に単衣を活用されることをお薦めします。

    そこで、春にも秋にも着回せる単衣のきものを紹介します。今回もワタクシゴトのきものから。 以前にもご紹介しましたこちらの江戸小紋、春単衣には献上帯などすっきりとした帯を合わせ、爽やかな印象に。

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    秋単衣の時期には、濃い色目の帯を。合わせて帯締め帯揚げも濃い色に変え秋の気配を出して行きます。写真の帯は、臈纈染めのもの。臈纈染めの特徴は、印象がとても柔らかなことにあると思います。袷の時期と盛夏の時期をうまくつなぐ、単衣の時期にぴったりの染め技法ではないでしょうか。

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    さて、明日は単衣向きの江戸小紋を数点ご覧に入れたいと思います。お気に入りが見つかりますように。


  • 続:献上博多帯

    さて今日は、献上博多の着回しを実際の商品でやってみましょう。きれいなピンク色の献上は涼やかで上品です。

    ちょうど今頃は、美しい黄色の紬に合わせてはいかがでしょう。あえてきれいな色同士でコーディネートするのも、この季節ならではの楽しみです。

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    夏のきもの、小千谷ちぢみにのせてみましょう。浴衣はそろそろ卒業、きものが一枚欲しいなという方にオススメのちぢみ。そのままワンピースになりそうなチェック柄も多いので、とっつきやすいと人気です。ランチに出掛けたり、美術館に行ったり、日常をちょっと贅沢に過ごしたい時にぴったりのコーディネート。帯揚げの赤い水玉がポイントです。

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    絽の江戸小紋との相性も抜群です。あられ模様の江戸小紋、とても爽やかな印象です。同じ水玉模様の帯揚げで、水のイメージを作りましょう。帯のピンク色も映えますね。お茶席など、きちんとしたシーンにバッチリの組み合わせです。

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    お好みの組み合わせは見つかりましたか?これはほんの一例ですので、是非お二階で実際にいろいろご覧になってくださいね。ご予約お待ちしております。


  • 献上博多帯

    こちら、献上博多帯と申します。慶長5年(1600年)に、福岡藩主が博多織の技術を幕府への献上品にしたことから「献上博多」と呼ばれるようになりました。特徴は、その文様にあります。真ん中に走るのは「独鈷柄(とっこがら)」。仏具の一種で、煩悩を破壊する菩提心の象徴とされる独鈷を織り込んだもの。右から二番目、左から二番目の柄は仏供養の時に花を散布する「花皿」。それから、縦縞がありますね。独鈷、花皿、縞の連続模様が博多織の特徴です。

    写真の帯は、祖母が締め母が締め、今は私が締めています。文字通り三代締めても、ヨレヨレ、クタクタとはまったく無縁。しっかりと打込まれた絹の手触り、絹鳴りの音に気持ちも引き締まります。お茶会などの改まったシーンにもってこいの帯なので、迷った時困った時のお助けアイテム。三代締めてもなお活躍する献上博多帯は、まさに永遠のテーマ。特にこれから単衣、盛夏の季節には必須の一品です。という訳で、参考までにワタクシゴトのきもの、単衣バージョンとしてご紹介します。

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    ちょうど今頃から、単衣のきものに合わせます。きものは江戸小紋。よく見ると市松模様になっており、さらにその中に小さい小さい橙色のドット柄があります。実際に纏うと、立体感と深みが現れて良い色合いに。献上帯を合わせると、シャキッと初夏の雰囲気になります。帯締め、帯揚げは白っぽくして爽やかな印象に。

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    こちらも単衣のきもの、結城紬です。全体に柄のあるきものにも、献上帯をのせるとすっきりまとまります。きものも帯も白っぽい場合は、紺色で挿し色を。紺色の帯締め、帯揚げは意外にも活躍するアイテムです。(参考1参考2

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    夏も本番になれば、絽のきものに合わせます。こちら、絽の変わり織り。白でもなくベージュでもなく、微妙な色合いが気に入っています。実はこれ、無地ではないんです。よ〜く見ると、市松っぽい柄が引き染めしてあるんです。身に纏って動くと、ちらちら柄が見え隠れ。このような柔らかい雰囲気のきものにも、献上帯はすんなり溶込み現代的に仕上がります。黒を基調にした帯締め帯揚げで、すっきりと。帯揚げには、カモメの姿が!!もともと色数を抑えたコーディネートが好きなのですが、暑い季節は更にシンプルに仕上げて行きます。その方が涼しげですから。

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  • きものでおはなし

    まっすぐ店内をお進み下さい。絞りの浴衣が二点ございます。ここでは半幅帯を合わせていますが、きちんと襦袢を着けて名古屋帯を締めれば「きもの」の格になる上等なゆかたです。

    一枚でいろいろに楽しめるゆかた、楽しみ方はお二階でゆっくりと。毎日、一組様限定できものを介して様々なおはなしをしています。話題はその日の流れ次第。筋書きのないドラマをお客様と作っている感覚です。美しいものに囲まれて、有意義な時間をご一緒にいかがですか?ご来店の際には、ご予約をいただけるとありがたいです。

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  • 近ごろのメインテーブル

    入り口のディスプレィと同様、店内のメインテーブルでも単衣の提案をしています。

    最近は、こちら。名門、室町の加納の大島です。 流れるような花模様は、可愛らしさも落ち着きも演出します。若い方から年配の方まで幅広い世代の方にお召しいただけると思います。 帯はインドシルクの無地を。非常に発色の美しい作品です。 総柄の着物には、無地の帯でスッパリとメリハリをつけると現代的な着こなしになります。

    メインテーブルの提案も、一日に何度か変わったりします。それもすべて社長の気分次第。気になる方は、日に何度もお越し下さい。

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    上の写真、左上の赤いバッグにご注目下さい。マチが広く、いつも持ち物の多い方にオススメです。とても軽いので、たくさん詰めても平気です。何より、目を惹く赤がとてもキュート。内側の更紗柄がチラリと見えるのがポイントです。素材は合皮。お値段は•••あまりにお手頃なので、書きません(笑)どうぞ、お問い合わせ下さい。

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  • 近ごろのエントランス

    近ごろは、単衣向きの組合わせを入り口にディスプレィしています。 こちら、着物はよろけ水玉。細かい水玉模様の着尺です。色無地のような感覚でどうぞ。 帯は織楽浅野。織り感で楽しむ、無地の帯です。 きれいな水色の帯締めで初夏の雰囲気を。 草履はエクセーヌ(合皮素材)。フィット感が抜群で長時間履いても疲れず、当店で一番人気のタイプです。

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    こちら、同じ着物に今度は染め帯を合わせました。加賀友禅作家、二塚長生作「ふくろう」です。 全体をブルーグレーで統一した中に、ポッと浮かぶふくろうが何とも印象的。目のグリーンが効果的ですね。 その他の二塚長生の帯は4月12日のブログで、どうぞ。

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    入り口のディスプレィは、数日間同じ組み合わせの時もあれば、ほんの数時間で変わる時もあります。すべては社長の気分次第。気になる方は、一日に何度もお越しになってみて下さい。