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  • マイワードローブ:その3

    さて、昨日は江戸小紋にのせた帯を今日は黒の大島にのせてみましょう。 音符の帯と組み合わせると、こうなります。 ミュージカル鑑賞やコンサートにぴったりです。 大島はシワになりにくいので、長時間イスに座る場合にもってこいのアイテム。

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    帯を拡大してみましょう。背中に出る部分もお腹に出る部分にも書かれているのはすべて、グレゴリオ聖歌。まだ四線譜の時代の楽譜です。クリスマスの頃はもちろん、大切な人のバースデーパーティにも良いでしょう。下の写真のお腹に出る部分、よく御覧下さい。アヴェマリアの譜面です。聖母マリアを讃えるということで、お客様がご出産された時にこの帯を締めてお見舞いに伺ったこともありました。一見、実用的ではない帯に思われがちですが、実にいろいろはシチュエーションで活躍してくれます。

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    さて今度は、チェックの紬帯と組み合わせてみましょう。 いちばん気軽で好きな合わせ方です。友人と軽いランチに出かける時などに最適です。黒のワンピースに、チェックのワンポイントをもってきたという感じなので、きもの初心者の方はこのようなコーディネートから始めらると抵抗ないかもしれませんね。

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    さてさてこの大島、一番上と一番下の写真では少し色が違って見えませんか?同じ時間に撮影したのですが、その時々の日差しの具合で微妙に見え方が変化します。たいへん奥深い着物です。結局いつもこの大島に袖を通してしまうのは、そういった形容しがたい奥深さに惹かれているからなのだと思います。纏う度に落ち着くと同時に、新鮮さもある。ぜひ一度、大島の魅力を肌で感じてみて下さい。


  • マイワードローブ:その2

    今日も引き続き、ワタクシゴトの着物を紹介させていただきます。江戸小紋の着回し編。

    袋帯を合わせた場合、パターンAの帯締め帯揚げできっちりフォーマルをつくります。 初釜の日はこの組み合わせです。

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    フォーマル感はそのままで、袋帯よりトーンダウンしたい時は本疋田絞りの名古屋帯を合わせます。 この帯は私にとっての万能帯で、困ったときはこの帯に頼ります。 頼りがいのある、きちんと名古屋が一本あるととても助かりますよ。

    お茶会や歌舞伎鑑賞の際は、小物はパターンAでフォーマル感をキープします。

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    友人とレストランにディナーなどの機会には、少し色を入れて。小物はパターンDに変えます。

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    結婚式の二次会や立食パーティには楽譜の帯で楽しみます。 パターンBの小物で、グッと締めます。

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    普段使用には、チェック柄の紬の帯で軽快に。黄色い帯を合わせた時も、紺の帯締め帯揚げがバッチリ挿し色になります。

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    江戸小紋の着回しはいかがでしたでしょうか。私はいつも抑えた色の着物を着ています。洋服もそうです。夏になれば白っぽいものが増えますが、基本的には黒やグレーや多いですね。着物の場合は特別に思われるかもしれませんが、箪笥の中の色合いは、着物も洋服も同じではないでしょうか。

    若いのにそんな地味な色をと言われることもしばしばあるのですが、私はおそらく今後もずっとこんな色が好きだと思います。それは、年齢の問題ではなく私自身が違和感なく自分らしくあることのできる色だからです。

    80歳でもピンク色がよく似合われる方もいらっしゃいますし、似合う色というものに年齢は関係ない筈です。大事なのは、自分らしい色を見つかられるかどうか。帯締め帯揚げの組み合わせも、人それぞれ雰囲気で違いますから、好きで長く付き合って行けるアイテムを選んで下さい。


  • マイワードローブ:その1

    ワタクシゴトですが、愛用している着物、小物の組み合わせについて書きます。帯締め帯揚げの組み合わせは、大まかに分けてフォーマル用、きちんと用、カジュアル用の三種類。

    こちらフォーマル用、帯締め帯揚げともに白の組み合わせ。帯締めの房の赤がポイントです。

    Aタイプとしましょう。

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    こちらカジュアル用。帯締め帯揚げともに紺色で、ピシッとコーディネートを締めます。

    Bタイプとします。

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    おでかけ用は、AとBの帯締めをそのまま活用。帯揚げだけ変えます。 ちょっとポイントをつけたい時は、赤い水玉絞りの帯揚げを。

    Cタイプ 。

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    お出かけする場所によってちょっと華やかさを出したい時は、薄いピンクの帯揚げを。

    Dタイプ。

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    さて、これらの小物をフル活用させ、帯をいろいろ変えながら無地の着物二枚を着回しています。

    こちら、お気に入りの江戸小紋。毛万筋(けまんすじ)という模様で、毛のように細い筋が何万とあることを意味します。

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    八掛の色も気に入っています。

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    こちら二枚目の着物、黒無地の大島紬。着る度に柔かさが増し、スベスベと羽二重のような感覚です。 黒と言っても泥染の黒なので、光の具合によって赤茶に見えたり、深い深い良い色です。

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    八掛の色は薄墨桜。裏地で春を演出するのもいいものです。

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    さてさて、二枚の着物と数パターンの小物を実際に組み合わせてみますが、それはまた明日からのおはなし。


  • このごろのメインテーブル

    うさぎ柄の付け下げ。やさしい薄紫色が特徴です。 名古屋帯は東京友禅「恵光童子」。塩瀬です。

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    こちら、裾模様のうさぎさん。

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    左胸と左袖のうさぎさん。躍動感と豊かな表情が魅力的ですね。

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    こちら帯のアップ、背中に出る部分です。こちらも表現豊かな作品ですね。力強さと上品さを感じます。

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  • 土曜にお越しのお客様

    土曜日にお越しになったお客様、結婚式からのお帰りとのこと。 から絞りの訪問着に、唐織りの袋帯の組み合わせ。豪華さと上品さを兼ね備えた、まさに大人の女性の着こなしです。 帯は大変シンプルですが、着物に負けない迫力があります。

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    こちら、最大の注目ポイント。袖のふりからチラリと見える襦袢のうろこ模様。 襦袢の挿し色と帯、帯締めとの色合い。 このアングルが美しいと、きもの姿として完璧でしょう。 こんな細部にまで気を配ることができれば、最高ですね。

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  • 続:男の人ときもの

    学生落語に時々ハマる私ですが、今は亡き名人のDVDにハマることもしばしば。五代目古今亭志ん朝さんは、素敵ですねぇ。噺についてはもちろん名人ですから、落語素人の私からはコメントするまでもありません。

    目下の楽しみは、高座ごとに違う着物です。志ん朝さんは、まさに粋。江戸小紋のような細かい縦縞で鼠系のお着物をよくお召しでした。それ以外ですと、全く無地のもの。粋でいらっしゃるのですが、品と色香があり、いざ座布団に座された時には、特有の佇まいがあり、この人は絶対に面白い噺を聴かせてくれるに違いないと確信します。 噺の最中に、襟の方が少々着崩れても美しい。何より好きなのは、ソデから座布団まで歩いていらっしゃる、所作。男の着物姿とはこうあるべきだー!といつもホレボレ。 噺とは、座って噺をするだけが噺ではなく、その前後ぜんぶひっくるめて噺なんですね。

    噺家というのは、噺をするから噺家なんじゃなくて、噺てない時にこそその真価が問われるのでしょう。 とにかく私は和服姿の志ん朝師匠に見とれているだけですので、落語についてはどなたか語って下さい(笑)個人的には、「搗屋幸兵衛」が好きです。

    “落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上” (TBS)

    “落語研究会 古今亭志ん朝 全集 下 [DVD]” (Sony Music Direct(Japan)Inc.(SME)(D))


  • 男の人ときもの

    先日在庫の整理をしていたところ、男物の紋付と袴の生地がたくさん出てきました。昔は、結婚という節目にきっちりと男性のきものも一揃え誂えたものなのですね。自宅の箪笥の中でも父のきものに遭遇することがあるのですが、男性が身に着けるものには女性をハッとさせる雰囲気があります。きっぱりと、美しい。女性の晴れ着とはひと味違いますね。民族衣裳には、男らしさ女らしさというものがきちんと反映されていることを痛感します。

    一昨年でしたか、歌舞伎役者の市川団十郎、海老蔵さん親子がパリオペラ座で公演されたときのこと。その特集をしていた雑誌の中に、衝撃的な写真が一枚ありました。黒紋付に袴姿の役者たちが、黄金の間でパリの紳士たちと並んでいるもの。高い高い天井のゴールドで統一された広間に、紋付と袴が見事にマッチし溶込んでいました。本当に美しかった。紋付袴の日本人と、タキシード姿の紳士たち。異なった文化を持つ人々が、何の違和感もなくそこにいました。 紋付に袴という究極にシンプルな装いは、異国のきらびやかな文化に匹敵するほどの、時にはそれを凌ぐほどの力を発揮するのでしょう。

    日本の衣裳は美しい。男性が纏うと、なお。

    “市川團十郎・市川海老蔵 パリ・オペラ座公演 勧進帳・紅葉狩(DVD付) (小学館DVD BOOK―シリーズ歌舞伎)” (小学館)


  • 予告

    立松和平氏の『きもの紀行』シリーズは、今月で終了します。皆さま是非、お手元に一冊。写真を見ているだけでも美しく、奥深さを感じます。

    さて、来月からはこちらの染色現代日本地図にのっとり、日本列島きものの旅シリーズを始めてみます。きものを作る技術だけを外国人に教えコストを低くし、外国で大量に安い商品を作ってみても、それは「きものまがい」です。その土地その土地に根ざした草木、水、土、空気、光、人間すべてが合わさって初めて「きもの」であること、私なりの言葉で伝えて行こうと思います。日本は美しい国です。

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    地図提供、太田和株式会社