土曜日にお越しになったお客様、結婚式からのお帰りとのこと。 から絞りの訪問着に、唐織りの袋帯の組み合わせ。豪華さと上品さを兼ね備えた、まさに大人の女性の着こなしです。 帯は大変シンプルですが、着物に負けない迫力があります。
こちら、最大の注目ポイント。袖のふりからチラリと見える襦袢のうろこ模様。 襦袢の挿し色と帯、帯締めとの色合い。 このアングルが美しいと、きもの姿として完璧でしょう。 こんな細部にまで気を配ることができれば、最高ですね。
富山県氷見市の呉服屋 きものの館絲穂
土曜日にお越しになったお客様、結婚式からのお帰りとのこと。 から絞りの訪問着に、唐織りの袋帯の組み合わせ。豪華さと上品さを兼ね備えた、まさに大人の女性の着こなしです。 帯は大変シンプルですが、着物に負けない迫力があります。
こちら、最大の注目ポイント。袖のふりからチラリと見える襦袢のうろこ模様。 襦袢の挿し色と帯、帯締めとの色合い。 このアングルが美しいと、きもの姿として完璧でしょう。 こんな細部にまで気を配ることができれば、最高ですね。
学生落語に時々ハマる私ですが、今は亡き名人のDVDにハマることもしばしば。五代目古今亭志ん朝さんは、素敵ですねぇ。噺についてはもちろん名人ですから、落語素人の私からはコメントするまでもありません。
目下の楽しみは、高座ごとに違う着物です。志ん朝さんは、まさに粋。江戸小紋のような細かい縦縞で鼠系のお着物をよくお召しでした。それ以外ですと、全く無地のもの。粋でいらっしゃるのですが、品と色香があり、いざ座布団に座された時には、特有の佇まいがあり、この人は絶対に面白い噺を聴かせてくれるに違いないと確信します。 噺の最中に、襟の方が少々着崩れても美しい。何より好きなのは、ソデから座布団まで歩いていらっしゃる、所作。男の着物姿とはこうあるべきだー!といつもホレボレ。 噺とは、座って噺をするだけが噺ではなく、その前後ぜんぶひっくるめて噺なんですね。
噺家というのは、噺をするから噺家なんじゃなくて、噺てない時にこそその真価が問われるのでしょう。 とにかく私は和服姿の志ん朝師匠に見とれているだけですので、落語についてはどなたか語って下さい(笑)個人的には、「搗屋幸兵衛」が好きです。
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先日在庫の整理をしていたところ、男物の紋付と袴の生地がたくさん出てきました。昔は、結婚という節目にきっちりと男性のきものも一揃え誂えたものなのですね。自宅の箪笥の中でも父のきものに遭遇することがあるのですが、男性が身に着けるものには女性をハッとさせる雰囲気があります。きっぱりと、美しい。女性の晴れ着とはひと味違いますね。民族衣裳には、男らしさ女らしさというものがきちんと反映されていることを痛感します。
一昨年でしたか、歌舞伎役者の市川団十郎、海老蔵さん親子がパリオペラ座で公演されたときのこと。その特集をしていた雑誌の中に、衝撃的な写真が一枚ありました。黒紋付に袴姿の役者たちが、黄金の間でパリの紳士たちと並んでいるもの。高い高い天井のゴールドで統一された広間に、紋付と袴が見事にマッチし溶込んでいました。本当に美しかった。紋付袴の日本人と、タキシード姿の紳士たち。異なった文化を持つ人々が、何の違和感もなくそこにいました。 紋付に袴という究極にシンプルな装いは、異国のきらびやかな文化に匹敵するほどの、時にはそれを凌ぐほどの力を発揮するのでしょう。
日本の衣裳は美しい。男性が纏うと、なお。
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立松和平氏の『きもの紀行』第三弾は、精好仙台平(せいごうせんだいひら)という袴に注目してみましょう。
もともとは、仙台藩が生産した御用織物である仙台平ですが、今では甲田綏郎(よしお)さん一家のみが織る大変貴重なものとなりました。身に着けると、その価値はまさに身を以てわかるそうですが、生地に触れてみるだけでもわかります。この袴は、ただものではないという緊張感が指先に走ります。背筋が伸び、拝みたくなるような神々しさが漂います。張りと柔軟性の見事な融合。やはり男性のためのもの。女性には着こなせない位の高さを感じます。
『きもの紀行』に、「一糸現念」という言葉が紹介されています。甲田家に代々伝わる言葉で、立松氏曰く、
機を織るときの心構えであるという。一糸に、糸を紡ぐ人、染める人、織る人、着る人、すべての思いが現れるという意味だろうか。
身に着ける人が檜舞台に立つことを想像し、全身全霊をかけて織る、それが甲田家のやり方。先代の甲田栄佑さんの教えは、綏郎さんと、後継者である娘さんたち、お姉さん、妹さんにしっかりと受け継がれています。
伝統を守り、仕事を守り、家族を守る。容赦なくはいってくるものと戦って、結局、伝統と仕事と家族だけが残ってきた。この道以外に生きる道はないんですね。。。仕事していく過程で、親の心の受け継ぎがわかります。親から子への魂の受け継ぎなんです。一生が勉強です。根気がいる仕事ですから、いつも心を平にして、一心に仕事に打ち込めるのも、家族の支えがあるからこそなのです。
と、綏郎さん。仙台平の神々しさは、甲田一家の絆から生まれ出ているのでしょうね。
個人的な心がけですが、きものを着る前日は足袋や下着にアイロンをかけます。そんな面倒なことしなくても、今どきはノンアイロンの足袋もありますよなんて言われそうですが、敢えてそうしているのです。
皺を伸ばしながら、いろいろ考えるんです。着姿を想像して、翌日の予定に思いを馳せる。円滑に物事が運びますようにと、願いをかける。おまじないのようなものです。
それに、皺が伸びた下着は気持ちがいい。自分にしか分からない満足感ですが、きものを着るときには、そういった人の目に見えない所作がとても大きく作用していると思います。
面倒なことも、やってみると意外とやみつきになったりして。自分だけの密かなやり方を作ってみるのも、きものの楽しみ方のひとつです。
さて、ずいぶんと温かくなって参りました。お天気が良いときものでのお出かけも楽しくなりますね。私がきものを着る際に気をつけていることのひとつに、下着選びがあります。特にこれからの季節はしっかりと汗と取ってくれるもの、肌に優しいものがベストです。
ここ数年間愛用している肌襦袢が、こちらのあしべ織汗とり。吸水力の大変強い天然素材、燈芯が主な材料で、夏は汗取りになり冬は温かく防寒の役割がありますので、オールシーズンお使いいただけます。あせもでお悩みの方、一度ぜひお試し下さい。ちょうどお腹周りの部分が二重に織られておりますので、細身で補正が必要な方はタオルなしでもしっかりと帯が胴にのり、安心感を得られます。
私はこの肌襦袢に出会ってから、こればかり。半信半疑で試されたお客様も、洗い替えに二枚目をお求めにいらっしゃいます。Mサイズ14,000円、L15,000円と、少し値は張りますが後悔はさせません。
また、裾よけはキュプラという素材をお薦めします。汗をかいてもサラサラとしており足にまとわりつきません。特に、長時間正座なさる場合や舞踊のお稽古などに最適でしょう。下着は見えないものですが、肌に一番近い部分ですので、決して軽視なさらないで下さい。下着の素材感、有り様によって着姿や精神的な満足感がまるで違ってきます。今春は下着にご注目下さい。
昨日は、大阪のお客様と梅田でランチをしました。場所は梅田芸術劇場のほど近く、SOLVIVAというお店。パスタ、グラタン、雑穀米プレートなど数種類あるランチメニューには、有機野菜が使われています。美味しい野菜や、お塩などの調味料が店内で販売されているのも魅力です。
さて、本日の装い。どちらも大島紬です。お客様は春らしい白地に蚊絣の大島に、墨黒の名古屋帯という組み合わせ。私は黒無地の大島に、チェックの名古屋帯。同じ無地っぽい大島でも、白と黒で印象が全然違います。いろいろと帯で表情を変えて楽しむことができます。袖を通す度に柔らかくなり、からだになじむのも大島の特徴ですから、ちょっとしたお出かけも着物で行ってみたくなりますね。