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  • 献上博多帯

    こちら、献上博多帯と申します。慶長5年(1600年)に、福岡藩主が博多織の技術を幕府への献上品にしたことから「献上博多」と呼ばれるようになりました。特徴は、その文様にあります。真ん中に走るのは「独鈷柄(とっこがら)」。仏具の一種で、煩悩を破壊する菩提心の象徴とされる独鈷を織り込んだもの。右から二番目、左から二番目の柄は仏供養の時に花を散布する「花皿」。それから、縦縞がありますね。独鈷、花皿、縞の連続模様が博多織の特徴です。

    写真の帯は、祖母が締め母が締め、今は私が締めています。文字通り三代締めても、ヨレヨレ、クタクタとはまったく無縁。しっかりと打込まれた絹の手触り、絹鳴りの音に気持ちも引き締まります。お茶会などの改まったシーンにもってこいの帯なので、迷った時困った時のお助けアイテム。三代締めてもなお活躍する献上博多帯は、まさに永遠のテーマ。特にこれから単衣、盛夏の季節には必須の一品です。という訳で、参考までにワタクシゴトのきもの、単衣バージョンとしてご紹介します。

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    ちょうど今頃から、単衣のきものに合わせます。きものは江戸小紋。よく見ると市松模様になっており、さらにその中に小さい小さい橙色のドット柄があります。実際に纏うと、立体感と深みが現れて良い色合いに。献上帯を合わせると、シャキッと初夏の雰囲気になります。帯締め、帯揚げは白っぽくして爽やかな印象に。

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    こちらも単衣のきもの、結城紬です。全体に柄のあるきものにも、献上帯をのせるとすっきりまとまります。きものも帯も白っぽい場合は、紺色で挿し色を。紺色の帯締め、帯揚げは意外にも活躍するアイテムです。(参考1参考2

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    夏も本番になれば、絽のきものに合わせます。こちら、絽の変わり織り。白でもなくベージュでもなく、微妙な色合いが気に入っています。実はこれ、無地ではないんです。よ〜く見ると、市松っぽい柄が引き染めしてあるんです。身に纏って動くと、ちらちら柄が見え隠れ。このような柔らかい雰囲気のきものにも、献上帯はすんなり溶込み現代的に仕上がります。黒を基調にした帯締め帯揚げで、すっきりと。帯揚げには、カモメの姿が!!もともと色数を抑えたコーディネートが好きなのですが、暑い季節は更にシンプルに仕上げて行きます。その方が涼しげですから。

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  • きものでおはなし

    まっすぐ店内をお進み下さい。絞りの浴衣が二点ございます。ここでは半幅帯を合わせていますが、きちんと襦袢を着けて名古屋帯を締めれば「きもの」の格になる上等なゆかたです。

    一枚でいろいろに楽しめるゆかた、楽しみ方はお二階でゆっくりと。毎日、一組様限定できものを介して様々なおはなしをしています。話題はその日の流れ次第。筋書きのないドラマをお客様と作っている感覚です。美しいものに囲まれて、有意義な時間をご一緒にいかがですか?ご来店の際には、ご予約をいただけるとありがたいです。

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  • 近ごろのメインテーブル

    入り口のディスプレィと同様、店内のメインテーブルでも単衣の提案をしています。

    最近は、こちら。名門、室町の加納の大島です。 流れるような花模様は、可愛らしさも落ち着きも演出します。若い方から年配の方まで幅広い世代の方にお召しいただけると思います。 帯はインドシルクの無地を。非常に発色の美しい作品です。 総柄の着物には、無地の帯でスッパリとメリハリをつけると現代的な着こなしになります。

    メインテーブルの提案も、一日に何度か変わったりします。それもすべて社長の気分次第。気になる方は、日に何度もお越し下さい。

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    上の写真、左上の赤いバッグにご注目下さい。マチが広く、いつも持ち物の多い方にオススメです。とても軽いので、たくさん詰めても平気です。何より、目を惹く赤がとてもキュート。内側の更紗柄がチラリと見えるのがポイントです。素材は合皮。お値段は•••あまりにお手頃なので、書きません(笑)どうぞ、お問い合わせ下さい。

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  • 近ごろのエントランス

    近ごろは、単衣向きの組合わせを入り口にディスプレィしています。 こちら、着物はよろけ水玉。細かい水玉模様の着尺です。色無地のような感覚でどうぞ。 帯は織楽浅野。織り感で楽しむ、無地の帯です。 きれいな水色の帯締めで初夏の雰囲気を。 草履はエクセーヌ(合皮素材)。フィット感が抜群で長時間履いても疲れず、当店で一番人気のタイプです。

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    こちら、同じ着物に今度は染め帯を合わせました。加賀友禅作家、二塚長生作「ふくろう」です。 全体をブルーグレーで統一した中に、ポッと浮かぶふくろうが何とも印象的。目のグリーンが効果的ですね。 その他の二塚長生の帯は4月12日のブログで、どうぞ。

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    入り口のディスプレィは、数日間同じ組み合わせの時もあれば、ほんの数時間で変わる時もあります。すべては社長の気分次第。気になる方は、一日に何度もお越しになってみて下さい。


  • 今月のベストショット

    今月、お着物でお越しになったお客様のベストショットを。 4月5日、姪っ子さんの結婚式のお帰りにお立ち寄り下さったお客様。このベストアングル、きもの姿のお手本にしたいですね。

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    4月7日、お子様の入学式の帰りに和服姿を見せて下さったお客様。ご自分でお召しになった成果は、ばっちりでした。お車へと急がれる後ろ姿、つい撮ってしまいました。母は強し。 練習風景に関しては、3月24日のブログをご覧下さい。

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    昨日、三宮アナスタシアにて。奥さまの和服姿をカメラに収めるご主人。美しき夫婦愛。

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    皆さま、是非当店へお着物をお召しになってお越し下さい。そして、店内にもブログにも華を添えて下さいませ。自分で着られるようになりたい方、是非練習しましょう。お客様のペースに合わせてお力になります。


  • アンティーク アナスタシアの奥さま

    昨日は、着付け指導イン三宮。アナスタシアの奥さまの登場です。少し早いのですが、単衣のお着物で練習です。ひとりで着物を着るのは今日が初めてという奥さまですが、そうとは思えないほど板についた感じです。お召しのお着物は、生紬の訪問着。絞りで蜘蛛の巣が表現されています。なんとも美しいエメラルドグリーン!これからの季節にぴったりですね。

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    帯は、ご主人ともに大の猫好きということで(お店にもたくさん猫ちゃんがいます)猫をモチーフにした名古屋帯を合わせました。この組み合わせ、まさに奥さまにしか着こなせません!着物の右肩の模様、素敵ですね。

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    バッグは網代で決めましょう。和装の時だけでなく、普段の洋装にも活躍します。

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    さて、着物とアンティークウォッチの取り合わせ、いかがですか?和装の際の時計選びは難しい場合が多いのですが、アンティークのものは上手に着物と調和してくれます。どちらも、歴史や文化に裏打ちされたものだからでしょうか。さりげなく主張する憎いアイテムです。そして、帯にご注目下さい。もちろん、前にも猫ちゃんがいます。そしてそして本日のコーディネート、一番のポイントは美しいピンクの帯締めです。

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  • アーメルド・サンシーオンの仕事4

    サンシーオン作の小紋、仕立てると昨日のブログでご紹介した着物のような感じになります。きれいなエメラルドグリーンの着尺、これこそ単衣の季節にぴったりでしょう。40歳になっても50歳になっても愛して下さる方にお召しいただきたい一枚です。

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    近づいてみましょう。サンシーオンらしい色使いと丁寧な仕事をお楽しみ下さい。

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    可愛いおまけ。 お子様用もサンシーオンでいかがですか?一つ身です。可憐で上品ですね。お宮参りに親子でサンシーオンなんて素敵じゃありませんか。

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  • アーメルド・サンシーオンの仕事3

    サンシーオンの小紋。すみません自前です。まるでドレスのような着物、小学生の頃から着ています。当店では、良い着物は長く楽しんでいただけるように内側で上げをして仕立てます。

    大人になれば、上げを伸ばして。10代の頃は袷にして、日舞のお稽古によく着ていました。洋風のデザインに見えますが、古典的な雰囲気がしっかりとありますので、和の稽古、和の空間にも調和します。

    30歳になろうとしている現在、単衣に仕立て直して楽しんでいます。ちょっぴり派手に見えますが、纏ってしまえば意外と落ち着いた色合いですので、40になっても着るつもりです!!

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    柄のアップです。本当に良い染めです。

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    アーメルド・サンシーオンの仕事1

    アーメルド・サンシーオンの仕事2


  • マイワードローブ:その3

    さて、昨日は江戸小紋にのせた帯を今日は黒の大島にのせてみましょう。 音符の帯と組み合わせると、こうなります。 ミュージカル鑑賞やコンサートにぴったりです。 大島はシワになりにくいので、長時間イスに座る場合にもってこいのアイテム。

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    帯を拡大してみましょう。背中に出る部分もお腹に出る部分にも書かれているのはすべて、グレゴリオ聖歌。まだ四線譜の時代の楽譜です。クリスマスの頃はもちろん、大切な人のバースデーパーティにも良いでしょう。下の写真のお腹に出る部分、よく御覧下さい。アヴェマリアの譜面です。聖母マリアを讃えるということで、お客様がご出産された時にこの帯を締めてお見舞いに伺ったこともありました。一見、実用的ではない帯に思われがちですが、実にいろいろはシチュエーションで活躍してくれます。

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    さて今度は、チェックの紬帯と組み合わせてみましょう。 いちばん気軽で好きな合わせ方です。友人と軽いランチに出かける時などに最適です。黒のワンピースに、チェックのワンポイントをもってきたという感じなので、きもの初心者の方はこのようなコーディネートから始めらると抵抗ないかもしれませんね。

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    さてさてこの大島、一番上と一番下の写真では少し色が違って見えませんか?同じ時間に撮影したのですが、その時々の日差しの具合で微妙に見え方が変化します。たいへん奥深い着物です。結局いつもこの大島に袖を通してしまうのは、そういった形容しがたい奥深さに惹かれているからなのだと思います。纏う度に落ち着くと同時に、新鮮さもある。ぜひ一度、大島の魅力を肌で感じてみて下さい。


  • マイワードローブ:その2

    今日も引き続き、ワタクシゴトの着物を紹介させていただきます。江戸小紋の着回し編。

    袋帯を合わせた場合、パターンAの帯締め帯揚げできっちりフォーマルをつくります。 初釜の日はこの組み合わせです。

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    フォーマル感はそのままで、袋帯よりトーンダウンしたい時は本疋田絞りの名古屋帯を合わせます。 この帯は私にとっての万能帯で、困ったときはこの帯に頼ります。 頼りがいのある、きちんと名古屋が一本あるととても助かりますよ。

    お茶会や歌舞伎鑑賞の際は、小物はパターンAでフォーマル感をキープします。

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    友人とレストランにディナーなどの機会には、少し色を入れて。小物はパターンDに変えます。

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    結婚式の二次会や立食パーティには楽譜の帯で楽しみます。 パターンBの小物で、グッと締めます。

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    普段使用には、チェック柄の紬の帯で軽快に。黄色い帯を合わせた時も、紺の帯締め帯揚げがバッチリ挿し色になります。

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    江戸小紋の着回しはいかがでしたでしょうか。私はいつも抑えた色の着物を着ています。洋服もそうです。夏になれば白っぽいものが増えますが、基本的には黒やグレーや多いですね。着物の場合は特別に思われるかもしれませんが、箪笥の中の色合いは、着物も洋服も同じではないでしょうか。

    若いのにそんな地味な色をと言われることもしばしばあるのですが、私はおそらく今後もずっとこんな色が好きだと思います。それは、年齢の問題ではなく私自身が違和感なく自分らしくあることのできる色だからです。

    80歳でもピンク色がよく似合われる方もいらっしゃいますし、似合う色というものに年齢は関係ない筈です。大事なのは、自分らしい色を見つかられるかどうか。帯締め帯揚げの組み合わせも、人それぞれ雰囲気で違いますから、好きで長く付き合って行けるアイテムを選んで下さい。