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  • 単衣の集い:おまけ

    今日は、単衣の集いおまけバージョンと致しまして、私たち親子の組み合わせをご紹介したいと思います。

    母も私も塩沢紬を着ました。いつも心がけていることは、お客様より目立たないこと。控えめにしながらも印象に残るコーディネートに努めています。

    母は絣模様の塩沢に平良敏子作、芭蕉布の帯を。帯留めはトラ目水晶です。 シックなイメージで涼感を表現しました。

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    私は母とは正反対の雰囲気の白っぽい塩沢で臨みました。帯は相楽刺繍、絽です。どちらも祖母の私物で、このコーディネートをよく楽しんでいました。ずいぶん時が経った今、孫の私がそっくりそのまま纏ってもまったく違和感がないので、大好きな装いです。6月の半ばからは着物は単衣のまま、帯は夏物に変えて行くとうまく夏を迎えることができます。そろそろ、半襟も絽に変えて行きましょう。

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  • 単衣の集い2

    さて本日は、単衣の集いでの装いを明らかに致しましょう!

    まず一組目のお客様から。 右、お母様は新緑をイメージさせる美しい小紋に、白っぽい織りの帯を。 左、お嬢様は、藤井絞り製、竜巻絞りの小紋に今井廉作の花守の帯をコーディネート。 おふたりとも、小紋をモダンに着こなしていらっしゃいます。

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    前はこのようになります。それぞれの帯の質感や面白さ、お分かりいただけますでしょうか。カゴのバッグも見事にマッチしています!お母様のシンプルな帯留め使いにも注目です。 お母様は、お嬢様が誕生なさった時に着付けの資格を取られて(なんと1級です!)以来、ずっと着付けから離れていらっしゃいましたが、この日は、お嬢様に着せつけをなさいました。本当に久しぶりと仰っていましたが、ブランクをまったく感じさせない自然体の着姿ですね。その様子を拝見しながら、母と娘の間には他の誰もが介在できない深い絆や想いが確かにあるのだと感じさせられました。

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    いま一組は、おふたりとも訪問着の装いです。

    右、お母様のお着物はよく目を凝らすとボカシがある訪問着。素材感と言い色と言い、大変きれいなお着物です。帯は、涼感漂う単衣向きのもの。たれにある柄がポイントです。

    左、お嬢様の装いは、着物も帯も染めの百趣矢野の逸品。控えめで上品な着物に、帯の蝶柄がインパクトを与えています。

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    前姿はこのようになります。お母様、さんごの帯留めが効いていますね。鮮やかなピンク色が全体のコーディネートを引き締めます。お嬢様も、市松模様の帯締めですっきりと。バッグの赤が印象的です。 お嬢様は富山に嫁がれましたが、この日は久しぶりに氷見に戻られご参加下さいました。いつも、とても仲の良い母娘さんでいらっしゃいます。

    こうして、着物を介してまたひとつ親子の思い出が増えるって素敵ですね。

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  • 単衣の集い1

    さて、ここに現れました和服姿の美女集団、その正体とや。。。

    昨日6月14日、いつもご贔屓にしていただいているお客様と着物でお食事会をしました。私たち親子を含め、親子三組の小さなお食事会。氷見の高級旅館、稲六にて。絲穂から徒歩5分ほどのところにありますので、着物でのそぞろ歩きにぴったりのロケーションです。お料理の味が抜群なのはもちろんのこと、館そのもの、通されるお部屋そのもの、お道具そのものに大変な価値があり、大切な日本文化が凝縮された旅館です。

    この日は特別に、ご主人からお部屋に掛けて下さったお軸の説明を伺うことができました。江戸時代、狩野派のものだそうですが、お軸のことだけでなく当時の文化や歴史をふまえて詳しく楽しくお話ししてくださったので、とても勉強になりました。

    写真は旅館へ向かうお客様親子の後ろ姿、それぞれの個性が光ります。それにしても和服姿とは、大変華やかなものですね。少人数だと、なおそう思います。私は常々、和服姿にはそれに伴う背景や風景という余白が必要だと思っています。よく、ぞろぞろ歩く着物の大集団を見かけますが、華やかというより、どこに焦点を置いていいのか分からないという印象を受けます。今回の集いのように少人数であれば、それぞれの魅力がきちんと発揮されますね。あまり大人数でないことも、着物を活かす大切な要素です。

    さてさて、詳しいコーディネートの全貌は、明日のブログで。ご期待下さい。

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  • 黒地の半幅帯

    浴衣の季節到来ということで、店内には毎日いろいろな浴衣が提案されています。今年は、黒をベースにした半幅帯に注目しています。

    黒という色は、とても難しい色だと思います。ちょっと間違えると上品さに欠けてしまったり、暗いイメージになってしまったり。黒地のきものすっきりと着こなすということに抵抗のある方、意外とたくさんいらっしゃるのでしゃないでしょうか。

    けれど、例えば帯という躯を覆う部分の少ないもので取り入れてみてはいかがでしょう。それも、半幅の帯で。半幅は名古屋帯と違っていろいろな結び方ができますから、うまく可愛さや上品さを表現できます。

    浴衣と合わせるとなお一層引き立ちます。浴衣には、きものでは表現しにくい色や柄がデザインされることも多いので、普段は似合わないと思っている色にもチャレンジでき楽しい冒険にもなります。

    さて、まったく雰囲気の異なる浴衣に黒地の半幅帯をのせてみました。皆さま、どのような印象をお持ちになりますか?

    こちら、総絞りの浴衣。絞りの名門、藤井絞り製。 帯はとてもシンプルなデザインですが、大胆で可愛らしいイメージの浴衣にうまく落ち着きを与えています。

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    こちら、綿紅梅の浴衣。とても面白い模様ですね。色もお洒落です。浴衣にも帯にもある、横に走るラインを活かしました。 シンプルですが、とっても人目を惹く組み合わせではないでしょうか。

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  • 昭和54年者

    ワタクシゴトで恐縮ですが、今月30歳になりました。こちらの二反の小紋は私と同い年です。昭和54年に祖母が仕入れました。

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    20年30年あるいはそれ以前の反物が、蔵や箪笥の奥からよく出てくるのですが、その価値が全く損なわれていないことにいつも驚かされます。むしろ、今の時代には更なる価値を持って輝きます。もし自分だったら、長い長い間だれの目にも触れず、存在を認められずにいてそれでも、きちんと「自分」であり続けることができるだろうかと思います。反物はすごいですね。いつもいつも「そのもの」であり続けることができる。時代や流行に流されない芯の強さを感じます。だから本当に美しいのでしょう。

    きものの世界には、染色や技法の奥深さから学ぶことも数えきれないほどありますが、その存在そのものから刺激を受けることもまた多くあります。同い年の反物を目の当たりにし、ブレない人間にならなくてはと痛感するばかり。以前は、美しい反物に囲まれていることをただ単純に幸せだと感じていましたが、段々と、その気持ちに責任感やプレッシャーが加わってきました。その責任感といかに向き合って行くかということに、30代のテーマはありそうです。


  • 小紋付け下げというすぐれもの

    こちら、小紋付け下げと申します。小紋でもあり、付け下げでもありますから帯次第でフォーマルもセミフォーマルもこなせます。名門、野口の臈纈染め。柄行きといい、色合いといい大変お洒落な一枚ですね。帯は上原美智子作、無地の名古屋帯。光の当たり具合で様々な表情を見せる、絶妙な織り感が魅力です。

    単衣の時期にも結婚式やパーティに招待されたり、格式あるお茶会に招かれたりする機会が結構ありませんか?そんな時は、このような小紋付け下げが一枚あると助かります。この取り合わせで春単衣も秋単衣もバッチリです。

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    春には、単衣〜盛夏用のすっきり色の帯締めで。

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    秋にはグッと深い色の帯締めを合わせて。同じきものと帯でも、帯締め一本で雰囲気がガラリと変わります。

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  • 続:単衣も江戸小紋を

    さて、単衣向きの江戸小紋をいくつかご紹介致します。江戸小紋と言うとシックなイメージばかりが先行しますが、そうではありません。明るく華やかなタイプもございますので、どうぞご覧下さい。

    こちら、市松模様の中に細かい細かい橙色のドットがあるタイプ。赤でもなく、ピンクでもなく、ベージュでもなく、微妙な色合いが上品ですね。

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    アップにすると、こうなります。

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    こちら、少し太い縞模様の江戸小紋。

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    アップにしてみましょう。よく見ると、緑と黄色の共演です。縦縞模様は、きっぱりと粋な柄ですが二色で表現されていることにより優しい雰囲気に仕上がっています。粋なものはちょっと苦手という方にもオススメの一枚です。

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    さて、こんなのはいかがでしょう。一般的な江戸小紋とはひと味違いますね。柄が少し大きめですから、無地っぽいものに抵抗のある方にも楽しんでいただける一反でしょう。

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    江戸小紋は、型染めの一種です。型をすべて手で彫ることから始まります。細かいドットもひとつひとつ手彫り。小さい桜の花を彫る場合も、花びらを彫る道具と花の中心点を彫る道具は違います。すべて手作業で彫られた型を、白生地の上にのせ染料をかけて染めます。長い白生地の最後まで同じことを繰り返します。型と型のつなぎ目の染めが一番難しいそうです。そこがつなぎ目とわからないようにするためには細心の注意が必要ですから。すべて人の手で作られたものは、実際に身に纏うとふうわりと柔らかな雰囲気になります。色も、ずっと見ていたくなるような優しい感じ。機会で大量生産されたものは、カチカチ、ガチガチ。目を突くような色をしています。

    江戸小紋未体験の方、是非一度お召しになって下さい。生地も上質で、肌に触れる感覚がとても良いんですよ。幸せを感じるきものです。


  • 単衣も江戸小紋を

    単衣を纏う時期は、一般的に6月(春単衣)と9月(秋単衣)と言われておりますが、5月も連休の頃から随分と気温が上がりますから、20度を越す陽気の日は私は迷わず単衣に袖を通します。動くと暑いですから。

    また、夏が終わっても、昨今は残暑がいつまでも厳しいですから何となく10月いっぱい単衣が放せません。年間を通して、気温の高い時期が増えました。旧来の概念にあまりとらわれず、臨機応変に単衣を活用されることをお薦めします。

    そこで、春にも秋にも着回せる単衣のきものを紹介します。今回もワタクシゴトのきものから。 以前にもご紹介しましたこちらの江戸小紋、春単衣には献上帯などすっきりとした帯を合わせ、爽やかな印象に。

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    秋単衣の時期には、濃い色目の帯を。合わせて帯締め帯揚げも濃い色に変え秋の気配を出して行きます。写真の帯は、臈纈染めのもの。臈纈染めの特徴は、印象がとても柔らかなことにあると思います。袷の時期と盛夏の時期をうまくつなぐ、単衣の時期にぴったりの染め技法ではないでしょうか。

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    さて、明日は単衣向きの江戸小紋を数点ご覧に入れたいと思います。お気に入りが見つかりますように。


  • 続:献上博多帯

    さて今日は、献上博多の着回しを実際の商品でやってみましょう。きれいなピンク色の献上は涼やかで上品です。

    ちょうど今頃は、美しい黄色の紬に合わせてはいかがでしょう。あえてきれいな色同士でコーディネートするのも、この季節ならではの楽しみです。

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    夏のきもの、小千谷ちぢみにのせてみましょう。浴衣はそろそろ卒業、きものが一枚欲しいなという方にオススメのちぢみ。そのままワンピースになりそうなチェック柄も多いので、とっつきやすいと人気です。ランチに出掛けたり、美術館に行ったり、日常をちょっと贅沢に過ごしたい時にぴったりのコーディネート。帯揚げの赤い水玉がポイントです。

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    絽の江戸小紋との相性も抜群です。あられ模様の江戸小紋、とても爽やかな印象です。同じ水玉模様の帯揚げで、水のイメージを作りましょう。帯のピンク色も映えますね。お茶席など、きちんとしたシーンにバッチリの組み合わせです。

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    お好みの組み合わせは見つかりましたか?これはほんの一例ですので、是非お二階で実際にいろいろご覧になってくださいね。ご予約お待ちしております。